2012 Fiscal Year Research-status Report
炭素-炭素結合の切断を伴う極性官能基導入法の開発と機能性有機材料合成への応用
Project/Area Number |
24550119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西原 康師 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20282858)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炭素-炭素結合の切断 / 極性官能基 / 機能性有機材料 / パラジウム |
Research Abstract |
以前,パラジウム触媒によるノルボルネンおよびノルボルナジエンに対するシアノエステル化を報告している。この反応では、シアノギ酸エステルの炭素-炭素結合をパラジウムにより活性化し、ノルボルネン誘導体に付加させることで極性官能基であるシアノ基とエステル基を同時にしかも何の副生物も生じることなく導入することができる・平成24年度は、この反応を芳香族化合物へのシアノ基とエステル基の導入を目的として、アラインに対するシアノエステル化に適用することを試みたが,対応する生成物を得ることはできなかった。しかし,興味深いことに,パラジウム触媒の配位子としてイソシアニドを用いた際に,アライン前駆体,イソニトリル,シアノギ酸エステルの三成分カップリングが進行し,対応するシアノ基を有するイソベンゾフランとその異性体であるα―イミノニトリル誘導体が生成することを見出した。具体的には、パラジウム触媒下,基質としてアライン前駆体,tert-オクチルイソニトリル, シアノギ酸エチルを用い,THF 中,50 °C,18 時間反応させることにより対応するシアノ基を有するイソベンゾフランを収率 44% で得た。さらに,この反応において,異性体であるα―イミノニトリル誘導体が25% の収率で生成していることを確認した。これら2種類の化合物の構造は,X線結晶構造解析により決定した。アラインを用いる多成分カップリング反応は,アラインの高い反応性を利用し,様々な求核剤,求電子剤との組み合わせが可能性であることから多置換アレーンを合成する重要な手段となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、炭素-炭素結合の形成による触媒反応の開発を目的として研究を遂行した。当初の目的であったアラインに対するシアノエステル化反応は達成できなかったが、予想しなかった新規反応であるアライン前駆体,イソニトリル,シアノギ酸エステルの三成分カップリング反応を発見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、炭素-炭素結合を活性化できる他の遷移金属としてロジウムに着目して研究を開始する。パラジウムは通常、四つの配位子としか結合できないが、ロジウムは最高六つの配位子と結合可能であるため、これまで達成できなかった有機不飽和化合物に対するシアノアステル化反応が開発できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、1,800 千円の研究費に対して、その大半を薬品や実験器具類などの消耗品費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)