2014 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-炭素結合の切断を伴う極性官能基導入法の開発と機能性有機材料合成への応用
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24550119
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西原 康師 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20282858)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炭素-炭素結合の切断 / 極性官能基 / 機能性有機材料 / パラジウム / ルイス酸 / イミノニトリル / イミノイソベンゾフラン |
Outline of Annual Research Achievements |
アラインを用いる多成分カップリング反応は、アラインの高い反応性を利用し、様々な求核剤、求電子剤との組み合わせが可能性であることから多置換アレーンを合成する重要な手段である。研究代表者は、平成24年度にパラジウム触媒によるアライン、イソシアニドおよびシアノギ酸エステルの3成分カップリングによってイミノイソベンゾフランが合成できることを報告している。その後、この反応では、同時にα-イミノニトリルが副生することも同時に見出した。また、単離したイミノイソベンゾフランに水素化ジイソブチルアルミニウムを作用させると、期待したアルデヒドではなく、α-イミノニトリルが選択的に生成することを明らかにした。 さらに、ボラン触媒を用いるイミノイソベンゾフランの選択的な 2-シアノ安息香酸エステルへの変換反応を開発した。単離したシアノ基を有するイミノイソベンゾフランに対して触媒量のトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを作用させると、α-イミノニトリルを経由して 2-シアノ安息香酸エステルを与えることが分かった。さらに、速度論的研究および計算科学を駆使しながら、反応機構に関して詳細に研究をおこない、イソシアニドの置換基に由来するカチオンの安定性がこの変換反応の鍵であることを突き止めた。化学量論反応において、ベンザイン前駆体と化学量論量のエトキシカルボニル(シアノ)パラジウム(II) 錯体の量論反応においても対応するエチル2-シアノ安息香酸エステルが生成することも見出した。 以上のように、研究代表者はパラジウム触媒と反応活性な反応剤であるアラインを巧みに用い、イソシアニドとギ酸エステルを組み合わせて、様々な含窒素化合物の合成に成功した。これらの反応の開発により、従来の合成法では達成できなかったギ酸エステルの新たな炭素-炭素結合の切断を伴う新規有機分子合成への応用が期待できる。
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Research Products
(7 results)