2012 Fiscal Year Research-status Report
不斉ピラジノジヒドロピレン系増感剤を利用した円偏光発光色素の開発
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24550120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤田 剛 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (90240902)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 円偏光 / 光応答性 / ジヒドロピレン / 光学分割 / キラリティ / 発光 |
Research Abstract |
本研究では、光応答性のピラジン環を縮環したジヒドロピレン(PZ-DHP)類を利用することで、低分子系において、円偏光性と発光効率を両立した円偏光発光色素を開発することを目的としている。すなわち、PZ-DHPは、可視光を吸収してジラジカル励起状態を形成して増感作用を示し、その後、異性化して可視光を吸収せず、大きな軸性キラリティによる円偏光誘起作用を示すことが期待される。 平成24年度は 非対称なDHP類の大量合成を計画しており、(1) DHP基本骨格の合成、(2)非対称なDHP の合成を行った。DHP基本骨格の合成としては、当初、申請者が開発したピナコールカップリング法を経由した合成ルートに従って合成を試みたが、収率に幅が大きく、再現性に難があったため、カナダMitchell教授の開発したサルファ法を利用して、10g単位の合成に成功した。非対称なDHP の合成に関しては、DHP のニトロ化反応により,非対称なジニトロDHP を生成し、これを利用して非対称なジアミノDHPを合成した。ニトロ化反応の選択性の制御は試薬量と温度コントロールによって行った。その後、ジアミノDHPに、ジフェニルエタンジオン、グリオキサールを縮環して,目的とする非対称なPZ-DHP類を2種類合成した。合成したPZ-DHP類の光応答性や、キラルHPLC分析による光学分割などの物性評価を行った。 なお、本年度は、DHP基本骨格の合成に関して、第12回西日本化学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には、非対称なPZ-DHP類の合成を計画しており、予定通り、2種類の非対称なPZ-DHPの合成を行った。得られたPZ-DHP類の光応答性や光学分割について検討し、迅速な光応答性とキラルHPLC分析による光学分割を達成した。 本年度は、基本骨格の合成などに関して、国内学会にて一部を発表しており、予定通りに進行していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に2種類の非対称なPZ-DHP類を合成し、物性評価を行った。今後は、得られた知見に基づいて分子設計の見直しを計画している。具体的には、光応答性について検討した結果、6員環のピラジン環のみが縮環したPZ-DHPが、長い共役系を縮環したDHPよりも良い光応答性を示すことが明らかになったため、縮環反応ではなく、置換反応でPZ-DHP類に発光部位を導入することを計画している。 また、今年度、キラルセミ分取カラムを利用することで、効率よくPZ-DHP類の光学分割が可能であることが分かったので、今後、光学分割したPZ-DHP類の物性評価をおこない、発光特性と円偏光性を評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、主に目的分子の合成に集中し、学会発表、研究打合せなどには参加しなかった。 次年度は、合成したPZ-DHPの機能評価と成果の発表に力を注ぎ、必要な有機溶媒などの消耗品、学会への参加旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)