2013 Fiscal Year Research-status Report
不斉ピラジノジヒドロピレン系増感剤を利用した円偏光発光色素の開発
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24550120
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤田 剛 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (90240902)
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Keywords | 円偏光 / 光応答性 / ジヒドロピレン / 光学分割 / キラリティ / 発光 |
Research Abstract |
本研究では、光応答性のピラジン環を縮環したジヒドロピレン(PZ-DHP)類を利用することで、低分子系において円偏光と発光効率を両立した円偏光発光色素を開発することを目的としている。すなわち、PZ-DHPは、可視光を吸収してジラジカル励起状態を形成して増感作用を示し、その後、異性化して可視光を吸収しないようになり、大きな軸性キラリティによる円偏光有機作用を示すことが期待される。 平成25年度は、銅錯体型リン光発光材料、及び熱活性化型蛍光発光材料の合成と特性評価、非対称なPZ-DHP類の光学分割と円偏光評価を計画した。銅錯体型リン光発光材料は、フェナントロリンと4,5-ジアミノDHPを縮環することで合成した。熱活性化型蛍光発光材料としては、1,2-ジ(9-アンスラ)エタンジオンを4,5-ジアミノDHPと縮環することによりアンスラセン部位を有するPZ-DHP類が得られた。非対称なPZ-DHPの光学分割としては、キノキサリン縮環DHP(Q-DHP)の光スイッチング挙動と光学分割を行い、CDスペクトルと発光挙動への影響を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、銅錯体型リン光発光DHP、及び熱活性化型蛍光発光DHPの2種類の発光材料を合成するとともに、非対称なQ-DHP類の光学分割と光応答性を検討した。Q-DHP類の光学分割に関しては、学術論文として発表しており、また国際学会での発表、国内学会での招待講演などを行った。研究の進展と発表に関して、当初の計画にほぼ沿っており、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに、銅触媒新しい数種類のPZ-DHP類縁体を合成しており、平成26年度は、これらの光学分割と光特性について検討することを予定している。 また、CDスペクトルの光応答性などに関して、論文を作成し、国際学会にて発表することを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、約88万円を支出したが、H24年度からの次年度使用額が多かったために残金となり、次年度使用額として繰り越した。H24年度の次年度使用額の発生理由としては、購入予定だった機器が導入できず、安い他の機器に変更したためである。 H26年度は、熊本大学から鹿児島大学に異動したために、簡易溶媒留去装置、試薬類、消耗品類などが必要となるため、これらの購入に使用する予定である。 また、最終年度にあたるため、国際学会での発表や論文の添削依頼などへの支出も計画している。
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