2012 Fiscal Year Research-status Report
不斉閉環メタセシスを基盤とする面不斉、軸不斉、らせん不斉の精密制御
Project/Area Number |
24550121
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40316021)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 面不斉 / 軸不斉 / クロム錯体 / 閉環メタセシス |
Research Abstract |
本研究課題では、まず、不斉閉環メタセシス反応により合成した面不斉アレーンクロム錯体を活用し、面不斉ホスフィン配位子の合成を行った。このホスフィン配位子は、ロジウム触媒を用いた不斉1,4-付加反応において、非常に高いエナンチオ選択性を示すことが分かっており、その誘導体の合成により、基質一般性の高い配位子の創製を目標として検討を行った。その結果、P(xylyl)2をアレーン上に有する配位子において、さらなる選択性の向上が確認された。また、この配位子は、ホスフィンに加えて、隣接するオレフィン部位が遷移金属に配位可能であり、二座配位子として機能していることが、ロジウムと配位子との錯体における単結晶を作製し、X線結晶構造解析を行うことにより確認することができた。 次に、面不斉についてプロキラルな1-置換, 2,6-ジプロペニルアレーンクロム錯体に対して、不斉閉環メタセシスによる非対称化を行うことにより、面不斉アレーンクロム錯体の触媒的不斉合成を行った。この際に、1位における置換基として、N-インドリル置換基を導入した錯体では、面不斉に加えて、炭素ー窒素間における軸不斉が発生する。従って、不斉非対称化操作によって、面不斉のみならず、C-N軸不斉をも同時に誘起することができる。実際にこの基質を用いて検討を行ったところ、非常に高いエナンチオ選択性 (99%ee)にて生成物を合成することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々は、本年度において、2つの触媒的不斉反応に関する課題を仕上げることができた。いずれの反応においても、生成物を非常に高いエンチオマー過剰率で与えるため、今後の展開が大いに期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られた成果を、細部にわたって検討するとともに、論文としてできるだけ早くまとめることを予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度においても、日常的に購入が必要な試薬、溶媒類の物品費に研究費の大半を計上することを計画している。
|
Research Products
(8 results)