2015 Fiscal Year Annual Research Report
不斉閉環メタセシスを基盤とする面不斉、軸不斉、らせん不斉の精密制御
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24550121
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
神川 憲 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40316021)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、我々は本研究課題にて、不斉閉環メタセシスを活用した面不斉・軸不斉化合物の触媒的不斉合成法を確立することに成功してきた。そこで、これらの知見を活用してらせん不斉を有する化合物を不斉閉環メタセシスを鍵反応としてエナンチオ選択的に合成することが可能かどうかについて、検討を行なった。まず、らせん不斉を有するヘリセン類の触媒的不斉合成を計画した。これまで当研究室では炭素―水素結合切断を基軸とする直接的なアリール化反応によるヘリセン類の合成を検討してきた。しかしながら、この方法ではヘリセンに内在するらせん不斉を制御することができないため、不斉閉環メタセシスを活用したエナンチオ場選択的な不斉非対称化による光学活性[5]ヘリセン類の合成を目指して検討を行なった。そこで、目的とする環化前駆体の合成を行ない、まずはラセミ体の合成を行うべく、Grubbs II触媒を用いて環化体の合成を行なった。その結果、対応する環化体である[5]ヘリセン誘導体を合成することに成功した。そこで、この置換ヘリセンのラセミ化障壁を確認するために、キラルHPLCにて環化体を光学分割した。しかしながら、得られたヘリセン誘導体を溶液状態で2時間以放置したところ、徐々に環化体のラセミ化が進行することが分かった。したがって、本反応における目的を達成するためには、再度ラセミ化をおこさない基質の設計が必要である。そこで、現在、ラセミ化障壁のより大きな基質に変えて合成を行なっており、継続して検討を行なっている。
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Research Products
(22 results)