2013 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン共鳴による硫酸化糖鎖の抗ウイルス性メカニズムの解明
Project/Area Number |
24550129
|
Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (40166955)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 秀喜 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (20192669)
|
Keywords | 硫酸化糖鎖 / ペプチド / 相互作用 / SPR / NMR |
Research Abstract |
我々はこれまでに硫酸化糖鎖が高い抗HIV、抗インフルエンザウイルス、抗デングウイルス作用など特異な生理活性を持つことを明らかにしてきた。これらの抗ウイルス性は硫酸基に由来する(-)電荷がウイルス表皮タンパクのアルギニンやリジンなどのアミノ酸残基の(+)電荷間の静電的相互作用よると推定した。そこで平成25年度では、表面プラスモン共鳴(SPR)を用いて硫酸化糖鎖とウイルスモデルペプチドやポリリジンとの相互作用を定量的に解析した。 ビオチン化したオリゴペプチドをSAセンサーチップに固定化した。硫酸化糖鎖はHBS-EPランニングバッファーに溶解させて調製した。最大濃度5 μg/ml、流速30 μl/min,添加時間180 sec、解離時間は600 secでSPR分析を行った。センサーチップは50 mM NaOHで再生した。 天然糖鎖ガラクトマンナンを硫酸化し高い抗HIV作用を持つことを明らかにした。抗ウイルスメカニズムを定量的に解明するため、HIVの表皮タンパク質gp120の塩基配列中の塩基性アミノ酸の多い2つの領域、493(Pro)~511(Arg)、297(Thr)~316(Ala)のオリゴペプチドPLGVAPTKAKRRVVQREKR、TRPNNNTRKRIRIQRGPGRAを合成し、センサーチップ上に固定化した。そこに硫酸化ガラクトマンナン溶液を添加しSPRを測定し、見掛けの結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)、解離定数(KD)を求めた。硫酸化糖鎖はオリゴペプチドとの結合速度定数(ka)は4.5 x 105 1/Ms ~ 0.4 x 105 1/Ms の105オーダーの強い結合力を示すことを見出した。また、解離速度定数(kd)は8.0 x 104 ~0.4 x 104 1/sの低い解離定数を示し一旦結合すると解離せず強い相互作用を示すことを見出した。結合定数(KD)は10-9オーダーとなり、大きな相互作用を示し、硫酸基に由来する(-)電荷とアミノ酸残基の(+)電荷間の静電的相互作用より抗ウイルス性が発現するものと考えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの我々の研究から、硫酸化糖鎖の抗ウイルス性が硫酸基に由来する(+)電荷とタンパク質中の塩基性アミノ酸が持つアミノ基に由来する(-)電荷との静電的相互作用によって引き起こされると推定してきた。平成25年度はSPR装置およびペプチド合成装置を駆使して相互作用を測定することに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに硫酸化糖鎖の抗ウイルス性についてSPR測定によりモデルペプチドとの相互作用を定量的に解析する方法を見出したので、本年度以降も硫酸化糖鎖の抗ウイルス性メカニズムについて種々の硫酸化糖鎖の合成および高分解能NMR測定、SPR測定などを複数の方法を組み合わせて詳細に検討していく。特に種々の構造を持つ硫酸化糖鎖の合成を行い、硫酸化糖鎖の構造と生理活性との関係を高分解能NMR装置やSPR装置を用いて定量的に解明する研究を進め、硫酸化糖鎖の抗ウイルス性メカニズムについて明らかにしていく。 平成25年度では、SPR装置のマイクロ流路交換等があり消耗品等に残額が生じた。残額は平成26年度にSPR消耗品、ペプチド合成試薬などに合わせて使用する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、SPR装置のマイクロ流路交換等の修理期間、消耗品等に残額が生じた。 平成26年度にSPR消耗品、ペプチド合成試薬、糖鎖合成試薬などに合わせて使用する。
|
-
-
-
-
[Journal Article] Sulfated polysaccharide, curdlan sulfate, efficiently prevents entry/fusion and restricts antibody-dependent enhancement of dengue virus infection in vitro: A possible candidate for clinical application2013
Author(s)
Koji Ichiyama, Sindhoora Bhargavi Gopala Reddy, Li Feng Zhang, Wei Xin Chin, Tegshi Muschin, Lars Heinig, Youichi Suzuki, Haraprasad Nanjundappa, Yoshiyuki Yoshinaka, Akihide Ryo, Nobuo Nomura, Eng Eong Ooi, Subhash G. Vasudevan, Takashi Yoshida, Naoki Yamamoto
-
Journal Title
PLOS Neglected Tropical Diseases
Volume: 7
Pages: e2188 (pp 1-17)
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-