2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24550130
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福元 博基 茨城大学, 工学部, 准教授 (70313369)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | π共役高分子 / 遷移金属錯体 / 分子ワイヤー錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たな電子・光機能材料の創製を目的として、ポリエンのπ電子系をスペーサー、レドックス活性な遷移金属のd電子系をアンカーとする新たな有機π共役-遷移金属複合系の構築ならびに複合系の基本的な化学的性質の解明を行ってきた。 両末端に金属捕捉可能なビピリジン(bpy)ユニットを有するポリエンAr-(CH=CH)n-Ar(n = 2-6)のうち、テトラエン(n = 4)(24年度)、トリエン(n = 3)(25年度)、モノエン(n = 1)(26年度)の合成を行った。ジエン(n = 2)についても合成を試みたが、単離には至らなかった。合成した各々のポリエンとルテニウム二価錯体(Ru(bpy)2Cl2)との反応により、目的の有機π共役-遷移金属複合系を得ることができた。これら複合系の電気化学的測定を行ったところ、ルテニウム(II)⇔(III)のレドックス挙動を確認できた。しかしながら、ポリエンの長さの長短にかかわらず、ポリエン両末端のルテニウム間の電子的相互作用はきわめて小さいこともわかった。この原因として、末端のビピリジルユニットがルテニウムに強く配位し、局所的に電子がとどまっていると考えている。 また、並行してすべてフッ素で置き換えた環状オレフィンであるシクロオクタフルオロシクロペンテン(OFCP)をスペーサー、フェロセンをアンカーとする複合系についても検討した。平成25年度では鉄単核、2核および3核錯体の合成を行い、いずれの錯体もレドックス挙動は明確に観測された。26年度も引き続き電気化学的測定を行い、2核錯体では鉄間の電子的相互作用が見られたが、3核錯体では末端鉄間の電子的相互作用が弱まることも確認した。 本研究を通して、新しい有機π共役-遷移金属複合系の構築方法を提案することができた一方、金属間の電子的相互作用を高めるためには、特にスペーサー部位とアンカー部位の共役系を持続させることが重要な鍵であることも課題として残った。
|
Research Products
(1 results)