2012 Fiscal Year Research-status Report
電気泳動するデザイナーポリエステルの創出と骨再生材料への応用
Project/Area Number |
24550132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高須 昭則 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30303697)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電気泳動堆積 / チオール・エン反応 / 生体活性ガラス / バイオミネラリエーション / 複合材料 |
Research Abstract |
<緒言>本研究では、骨(ヒドロキシアパタイト)の形成を促す生物活性ガラス(バイオガラス)を金属基盤に効率よくコーティングする手法の確立し、次世代の再生医療材料への展開を目指した。バイオガラスは、一般的なガラスよりも、SiO2の割合が少なく、NaやCaの割合が高くP2O5が新たに含まれている。一方、電気泳動コーティング(EPD)法は電場存在下での荷電粒子の沈着現象で、懸濁液に浸した基板上にナノからマイクロメートルのスケールで膜を形成することが可能な手法である。今年度は、ポリ(エステル-スルホン)の構造がEPDに及ぼす影響、その表面におけるヒドロキシアパタイトの再石灰化を検討した。 <実験>チオール・エン反応を利用して、ポリ(エステル-スルフィド)の合成を行った。クリック重合はモノマーに光開始剤を加え、UVを照射することで開始・進行した。続いて、ポリマーを酸化させることでポリ(エステル-スルホン)を得た。ポリ(エステル-スルホン)とバイオガラスでコロイド分散液を調製し、EPDを行うことでバイオガラス / ポリ(エステル-スルホン)の複合膜を得た。複合膜形成後、擬似体液に浸し、静置することによって、ヒドロキシアパタイトの再石灰化を試みた。 <考察>ポリ(エステル-スルホン)(Mn=28000, Mw/Mn=1.9)を用いてEPDを行った結果、バイオガラスとの安定な複合膜をアノード選択的に形成することができた。メチレン鎖長の異なるモノマーや芳香族環を導入することでEPDの挙動が変化したことから、メチレン鎖長や結晶性が影響することが分かった。1H NMRおよび走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、EPDの前後でポリマーの構造が保持されていること、バイオガラスとポリマーが均一に複合化していることもわかった。さらに、得られた複合膜上でのヒドロキシアパタイトの再石灰化も確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
逐次重合の新展開を念頭に、高度に発達した高分子化学(クリック重合)を駆使して電気泳動するポリ(エステル―スルホン)の創出を提案できた。メチレン鎖長の異なるモノマーや芳香族環を導入することで電気泳動堆積(EPD)の挙動が変化したことから、メチレン鎖長や結晶性が影響することが分かった。EPDの前後でポリマーの構造が保持されていること、バイオガラスとポリマーが均一に複合化できることもわかった。さらに、得られた複合膜上でのヒドロキシアパタイトの再石灰化も確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
電荷をもたない高分子の電場での泳動挙動が研究者の学術的興味を駆り立て、期間内に構造の普遍性を提示する。電気泳動コーティング法によるバイオガラス(ヒドロキシアパタイトの形成を促す物質)のほか各種無機化合物(光触媒)の金属基盤への集中集積も検討する。高分子化学的手法を積極的に用いた新しい複合材料の創製が本研究のもう一つの目的となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、高分子合成用の有機・無機試薬、ガラス器具などの消耗品、成果発表や情報収集のための旅費、論文別刷り代やホームページの更新などの費用を計上する。効率よく研究を遂行するために必要に応じて設備投資や特許出願を行う。
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Research Products
(7 results)