2014 Fiscal Year Annual Research Report
一軸配向ポリペプチド液晶ゲルの異方的膨潤-収縮挙動に関する研究
Project/Area Number |
24550133
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪股 克弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80232578)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリペプチド / ゲル / 液晶 / 形状変化 / 刺激応答 / ヘリックス-コイル転移 / 階層構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、α-ヘリックス構造の棒状ポリペプチド鎖が一軸的に配向した液晶ゲルにおいて、ポリペプチド鎖がヘリックス構造からランダムコイルに転移することで起こる、ゲルのマクロな異方的形状変化の挙動を、階層的構造を念頭に明らかにすることを目的とし、以下の成果を得た。なお、平成26年度は以下の(4)の内容について研究を実施した。 (1) 架橋剤濃度の影響:架橋剤濃度が異なる一軸配向ポリ[N5-(2-ヒドロキシエチル) L-グルタミン](PHEG)液晶ゲルを、高磁場環境を用いて調製した。PHEGは溶媒変化によりヘリックス-コイル転移が起こる。架橋剤濃度が低い試料では、PHEG配向方向とそれと垂直方向との膨潤・収縮挙動に異方性が現れたが、架橋剤濃度が高い場合には異方性は弱かった。 (2) 液晶相の有無の影響:同じ濃度で液晶性を示すPHEGゲルと示さないPHEGゲルとを調製した。ヘリックス-コイル転移に伴い、液晶性を示すゲルでは、示さないゲルよりも、膨潤度の変化が急激に起こる領域が存在した。これは前者では、分子鎖のコンホメーション変化が液晶相から等方相への転移を付随的に起こしていることを意味しており、階層構造が形成されている本系で特徴的に見られる現象である。 (3) 温度応答性ゲル:水溶液中で温度変化によりヘリックス-コイル転移を示すポリペプチドを用いて、一軸配向ゲルを調製した。この試料でも、温度変化に伴う異方的な膨潤・収縮挙動を示した。また、ポリペプチドの溶解性が高温で低下するため、ゲルの形状は昇温に伴い複雑に変化した。 (4) ポリペプチドゲル繊維:液晶溶液を貧溶媒中に押し出すことでポリペプチド配向繊維を得、側鎖置換反応によりPHEG配向ゲル繊維を調製した。高磁場環境を利用するよりも簡便な紡糸法により、異方的膨潤・収縮挙動を示すゲル繊維を調製することができた。
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Research Products
(10 results)