2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大前 仁 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50300801)
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Keywords | 多糖 / 癌抗原 / グリコサミノグリカン / 酵素 |
Research Abstract |
[1]重合反応による、より複雑な構造を有する糖鎖の合成 1.硫酸化LexオキサゾリンモノマーのケラタナーゼII酵素による重合反応 本研究では前年度で合成完了した硫酸化LexオキサゾリンモノマーのケラタナーゼIIによる重合反応を検討した。前年度は酵素添加によるモノマー消費の促進を確認したが、本年度では反応溶液のSEC分析により、モノマーの加水分解物(3糖)に加えて6糖(n=2)、9糖(n=3)、12糖(n=4)が生成していることを確認した。また、反応溶液の質量分析により6糖のピークが確認された。これらの事実から、ケラタナーゼIIが硫酸化Lexオキサゾリンを遷移状態アナログ基質モノマーとして認識し、重合反応を引き起こして硫酸化Lexオリゴマーを与えることを明らかにした。一方、来年度に実施予定であるグリコシル化反応について、アクセプターとなるGalβ(1,4)GlcNAc(6-SO3Na)β-OR、およびGal (6-SO3Na) β(1,4)GlcNAc(6-SO3Na)β-OR(R: (CH2CH2O)3CH2CH2N3)の合成を完了した。現在硫酸化Lexアクセプターの合成を検討している。 2.ヒアルロニダーゼ触媒重合による高硫酸化コンドロイチンおよびヒアルロン酸硫酸の合成 昨年度から引き続きモノマーの合成に取り組んだ。昨年度に問題となったグルコース(Glc)誘導体の6位酸化反応について、Glc誘導体の6位をTBDPS基で保護し、1位のMP基を除去した後アセチル化し、その後TBDPS基を除去することにより、酸化反応を問題なく行うことができた。これにより、小スケールでのスクリーニングを終了し、大量合成を開始した。現在、2糖モノマーの合成を進めている。さらに、来年度に行う予定の酵素的グリコシル化反応のドナーとなる非還元末端4位にGalを有する3糖オキサゾリン誘導体の合成も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、最も困難な硫酸化Lexオリゴマーの合成が達成され、次年度のケラタナーゼIIによるグリコシル化反応に使用するアクセプターの合成も2糖部分については完了した。従って、1の研究については75%程度達成されたことになり、予定を大きく上回るペースで進展している。 一方、2の研究は未だモノマーの合成完了に至っていないが、昨年度明らかとなった問題点を克服する合成ルートを確立し、大スケールでの合成に目途がついた。同時に、酵素的グリコシル化反応のドナーの合成法にも目途がつき、その合成を開始するに至った。 上記の状況から、全体としてはおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1の研究については順調に進んでいることから、今後このまま癌関連II型糖鎖のライブラリー合成を進めていく。さらに、合成された糖鎖については順次糖鎖抗原として利用し、ワクチン化への評価を行っていきたい。 2の研究についてはモノマー合成が遅れていることから、本年度に確立された合成法に従って直ちにモノマー合成を完了させる。酵素的グリコシル化による逐次糖鎖伸長反応に用いるグリコシルドナーも同手法により合成可能であることから、これについても同時に合成を進めていく。
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