2013 Fiscal Year Research-status Report
表面トポグラフィーの増幅制御とポリマー物性の可逆変換
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24550139
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐藤 絵理子 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30422075)
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Keywords | 濡れ性 / 表面トポグラフィー / 高分子薄膜 / 硬化収縮 / 座屈変形 / マイクロリンクル |
Research Abstract |
本研究課題は、高分子薄膜の表面トポグラフィーの増幅制御による物性の可逆変換を目的とする。前年度の成果を踏まえ、平成25年度は表面トポグラフィー制御による異方的な濡れ性の発現および熱膨張と収縮を利用する表面トポグラフィー制御の2点に取り組んだ。 1. 異方的な光パターニングと濡れ性評価 前年度の成果に基づき、光二量化により効率的に体積収縮および表面自由エネルギーが低下するポリマーを用い、光パターニングの形状およびサイズが濡れ性に与える影響を評価した。等方的な光パターニングを行った場合は濡れ性の異方性が見られないのに対し、ストライプ状など異方的な光パターニングを行うことにより、濡れ性に異方性が発現することを明らかにした。パターンサイズの効果についても検討を行った。さらに、共重合による濡れ性制御範囲の拡大、表面の再配向と固定化が可能なことも明らかにした。 2. 熱膨張と収縮を利用する表面トポグラフィー制御 架橋ポリマーなどの弾性体表面に密着した弾性率の高い金属薄膜に圧縮応力が加わると座屈変形が起こり、マイクロメートルスケールのしわ(マイクロリンクル)が形成されることが報告されている。弾性体のマクロな形状がマイクロリンクルの異方性に与える影響を評価し、臨界座屈応力の観点から金属薄膜の形状と異方性の関係を明らかにした。さらにマイクロリンクルの形成過程の観察に成功し、マクロな形状からは予測できない異方性発現メカニズムを明らかにした。マイクロリンクルの異方性が濡れ性などの表面物性に与える効果、可逆的なマイクロリンクル形成の可能性についても検討を行い、これらの制御を可能にする予備的知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、表面トポグラフィー制御により異方的な濡れ性を示す表面設計を行うことを目標としていた。研究計画通り、異方的な光パターニングと濡れ性の評価および熱膨張と収縮を利用する表面トポグラフィー制御に関する研究を進め、異なる2つのアプローチにより異方的な表面トポグラフィー制御および異方性のある濡れ性をもつ表面の構築を達成した。当初の計画および目標をクリアしたことからおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、引き続き異方的な濡れ性を示す表面設計に取り組み、異方性の拡大や可逆的なマイクロリンクル形成による濡れ性の可逆制御に発展させる。動的接触角測定により光反応前後の高分子薄膜の運動性の評価も行う。また、これまでに得られた知見を活用し、薄膜のフリースタンディング化やフリースタンディング薄膜の光反応を利用する物性制御にも取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は設備備品として動的接触角測定装置を導入したが、当初予定より納品が1ヶ月程度遅れた。このため、平成26年度の研究をスムーズにスタートさせるために平成25年度中に行う予定にしていた装置の立ち上げやトレーニングが遅れ、関連する消耗品等の支出が減ったため繰り越し金が生じた。 繰り越した予算は上記消耗品の購入に充てるとともに、現有機器では行えない高分子の構造評価の必要性が生じたため外部機関への依頼測定または測定機器の導入に活用する予定である。
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Research Products
(18 results)