2012 Fiscal Year Research-status Report
炭素-炭素二重結合を含むπ共役系高分子の分子量制御法の開発
Project/Area Number |
24550141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
横澤 勉 神奈川大学, 工学部, 教授 (80182690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 佳宏 神奈川大学, 工学部, 助手 (90625617)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 触媒移動重合 / ポリフェニレンビニレン / 連鎖縮合重合 / π共役系高分子 / Pd触媒 / Ni触媒 |
Research Abstract |
本研究では申請者が開発したポリチオフェンやポリフルオレンなどの分子量制御法(触媒移動型連鎖縮合重合)を芳香族π共役系高分子からポリフェニレンビニレンやポリアセチレンのような炭素-炭素二重結合を含むπ共役系高分子まで展開することを目的としている。これらのポリマーも触媒移動型連鎖縮合重合によって分子量制御して合成できるようになれば、ポリチオフェンとポリアセチレンとのブロック共重合体のようなこれまでにないπ共役系高分子を創製することができる。今年度の研究実績は以下のとおりである。 (1)熊田・玉尾カップリング重合におけるポリフェニレンビニレンの分子量制御 ビニル基またはフェニル基を選択的に Grignard 化できる2種類のブロモヨードスチレン誘導体を合成し、Ni 触媒による重合を検討した。その結果、前者のモノマーはほとんど重合しなかったが、後者のモノマーはポリマーを与えた。しかしながら、分子量分布は広かった。 (2)鈴木・宮浦カップリング重合におけるポリフェニレンビニレンの分子量制御 ビニル基またはフェニル基にボロン酸またはボロン酸エステルを導入した2種類のモノマーを合成し、Pd 触媒による重合を検討した。その結果、いずれのモノマーも水酸化カリウムのような強い塩基を用いるとポリフェニレンビニレンが得られた。しかしながら、分子量分布は広かった。モデル反応として4,4'-ジブロモスチルベンとフェニルボロン酸エステルとの反応を検討した結果、t-Bu3Pを配位子とするPd錯体を用いると選択的にフェニル二置換反応が進行し、触媒が炭素-炭素二重結合上を分子内移動していることが示唆された。 (3)Heck 反応におけるポリフェニレンビニレンの分子量制御 、t-Bu3Pを配位子とするPd錯体によって室温で進行する重合反応を開発したが、生成ポリマーの分子量分布は広かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では目的とした分子量分布の狭いポリフェニレンビニレンは得られていないが、鈴木カップリングによる重合のモデル反応においてPd触媒が炭素-炭素二重結合を経て分子内移動する条件を見出すことができた。この触媒移動を支配している因子を現在明らかにしている。これらの知見から炭素-炭素二重結合を持つモノマーの触媒移動型連鎖縮合重合が達成されると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
鈴木・宮浦カップリングのモデル反応において触媒の分子内移動が観測されたスチルベンをモノマー化して、まずはポリスチルベンの分子量と分子量分布の制御を鈴木カップリング重合によって目指す。次に再度、ポリフェニレンビニレンの分子量と分子量分布の制御を鈴木カップリング重合によって検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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