2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550143
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大澤 雅俊 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (00108466)
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Keywords | 表面増強赤外分光 / 表面反応機構 / 電極触媒 / 燃料電池 / 固液界面 / 第一原理計算 / 防錆油 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
本研究は、独自開発の表面増強赤外分光(SEIRAS)を中核とし、基礎から、工業的に重要な表・界面反応の本質を明らかにすることを目的とする研究を展開した。 1.固体表面と水和イオンの相互作用ダイナミクス:溶液中の化学反応を理解するためには、溶媒和分子間の相互作用を理解することが不可欠である。モデル系として、金属電極と水和陽イオンとの相互作用ダイナミクスをナノ秒時間分解SEIRASで検討した。疎水性水和殻が容易に崩壊すること、親水性水和殻は安定で容易に崩壊しないことなどを明らかにした。フェロセンの酸化還元に伴って、その水和殻構造が変化する様も観測し、電解質アニオンによって酸化還元電位がシフトする理由を理解することができた。並行して、金電極/イオン液体界面の電気二重層構造を明らかにし、イオン間ならびにイオンと界面の静電場との静電相互作用によって、電位を変化したときにヒシテリシス挙動を起こすことを明らかにした。 2.脂質二分子膜の構造と機能:外部刺激に対する構造変化を検討した。ごく微量のオゾンによって不飽和結合が開裂し、膜構造が変化することを明らかにした。また、金電極表面の二分子膜は、印加する電位によって膨張し、内部に水が浸入すること、数種類の構造の異なった水が存在することを明らかにした。さらに、溶液中にK+を加えた時の膜タンパクの構造変化を調べ、K+チャンネルのカルボキシ基がイオン認識の役割を担っていることを明らかにした。 3.その他工学的問題:金属表面を保護するために防錆油が広く用いられるが、適当な界面活性剤を加えるとより効果的であることが知られている。化学メーカーと共同で、金表面における各種界面活性剤の構造を検討し、その構造と防錆性の間の相関を明らかにした。また、洗剤メーカーとの共同で、界面活性剤の構造と単分子膜の構造の相関を検討し、柔軟剤の作用機構を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属と水和イオンの相互作用に関するダイナミクスの検討は、溶液中の化学反応の第一段階、すなわち溶媒和構造の変化、を理解することに繋がる。電気化学系と時間分解SEIRASを組み合わせた方法論の開発は、より深い理解のきっかけになる重要な基礎になると考えている。イオン液体を溶媒とする電極表面反応の研究は開始したばかりで、従来にない画期的な成果を上げているとは言い難いが、SEIRASが有効な研究手段であることを示したことで、今後の発展の可能性が見えてきた。防錆油の作用機構、柔軟剤の機能など、工学的応用に直接関連する表・界面研究は、想定以上の進展を達成したが、SEIRASをFeやNiなど、より実用性の高い金属に拡張する試みは難航している。以上総合すると、おおむね順調に進展していると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度から検討している有機分子を燃料とする燃料電池の電極触媒反応の研究を継続して行っており、メタノール酸化に関してはかなりの結果が蓄積している。本年度は、統一的な理解を得る努力をする。イオン液体を溶媒とする電極表面反応の研究は、特に二次電池やキャパシタへの応用を念頭に置き、本年度中に飛躍的に発展させる予定ある。SEIRASの実用金属への拡張は将来の表・界面研究に不可欠であるので、努力を継続する。 本報告書で報告していない未発表の実験結果が多くあるが、複雑な反応系で、解釈に苦慮している。その解決策として、第一原理計算を行っている。まだ成果が出るに至っていないが、目鼻がつきかけてきているので、継続して推進する。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] Effect of functional group on the monolayer structure of biodegradable quaternary ammonium surfactants2013
Author(s)
A.-I. Ge, Q.-L. Peng, H.-L. Wu, H.-J. Liu, Y.-J. Ton, T. Nishida, N. Yoshida, K. Suzuki, T. Sakai, M. Osawa, S. Ye
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Journal Title
Langmuir
Volume: 47
Pages: 14411-14420
DOI
Peer Reviewed
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