2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24550143
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大澤 雅俊 北海道大学, 触媒化学研究センター, 特任教授 (00108466)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 表面増強赤外分光 / 反応機構 / 電極触媒 / 燃料電池 / 固液界面 / 自己集積単分子 / 不斉合成触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自開発した表面増強赤外分光法(SEIRAS)の基礎をより堅固にし、その応用範囲をさらに広げることを目的として、以下の検討を行った。 1.SEIRASの理論再構築:表現増強効果の機構はいまだに十分理解されていないので、研究代表者が以前提案した理論モデルをより厳密な理論へ展開し、その本質をより深く考察した。また、吸収波形が基板ならびに金属薄膜の構造によって変形しうることを示した。2.触媒反応機構の解析:直接型燃料電池の燃料として期待されているギ酸の電極触媒反応機構を明らかにするために、電極(触媒)による活性の違いを検討し、活性の高いPtとPd、活性の低いAuでは反応機構が異なることを明らかにした。3.水素付加不斉合成触媒反応機構:シンコニジンで修飾したPtは、高い不斉収率を与えることが知られている。その起源を探るためにシンコニジンの吸着構造を解析し、反応条件下(水素分子が溶媒に溶解している条件)で反応に適した構造になること、配向変化がPt表面に吸着した水素原子によって生じることなどを明らかにした。4.生物化学への展開:生態系の反応の多くは酸化還元を伴うため、電気化学はその機能を明らかにするのに有効であるが、電極に直接吸着すると失活することが多い。そこで、電極を自己集積単分子膜(SAM)で被覆する方法がとられる。本研究では、呼吸鎖複合体の酸化的リン酸酸化の入り口酵素であるNADHデヒドロゲナーゼ複合体I(E. coli Complex I)の電気化学挙動が、末端をNADHで修飾した11-mercaptoundecanoic acid SAMによって改善され、その原因が最初に電子移動がおこるフラビンモノヌクレオチド補酵素が電極により近くなるためであることを明らかにした。5.その他、新規機能性錯体による表面の機能化、防錆油による腐食抑制効果の機構等を検討した。
|