2012 Fiscal Year Research-status Report
極低温におけるバルクへテロ接合の電子輸送特性の研究
Project/Area Number |
24550147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 裕之 東京大学, 物性研究所, 准教授 (60207032)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光CELIV / 太陽電池 / 有機半導体 / 移動度 / トラップ / geminate対 |
Research Abstract |
有機半導体薄膜デバイスは複雑な研究対象であり、半導体-電極界面と、半導体内部の現象をはっきり区別し、理論と実験的を対応させるのは難しい。このため、理論的には問題のある半定量的解析法が多くの系で利用されている。このような解析法は、実用的な観点からは一定の有用性を有するが、新しい素子開発につながる基礎原理の解明はもたらさない。これに対して、本研究では光CELIV(carrier extraction experiments using a linearly increasing voltage)法と呼ばれる新規の物性測定技術を発展させ、有機半導体物性の基礎原理を明らかにすることを目指す。 平成24年度は、実験測定システムの改良を行った。これにより、従来より高速の測定ができるようになったばかりでなく、測定温度、電圧Sweep速度、遅延時間等を変えて自動測定できるようになった。また、以前の論文では、不十分であった解析法を改良し、mobilityの効果を取り込んだ詳細な解析ができるようにした。この結果、geminate 対の結合エネルギーを実験的に決められるようになった。geminate対の結合エネルギーは、有機太陽電池開発において重要なパラメータであるが、このパラメータを定量的に求める手法は、本研究以前に、事実上皆無である。一連の成果を、Organic Electronics誌に発表するとともに、関連する3件の国際学会、国際ワークショップの招待講演において発表した。また、有機伝導体単結晶を用いた、トランジスタ作成に関する報告も行っている。年末になって兵庫県立大学への移動が決まったため、研究をストップし、実験設備の運搬準備を1月から行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
転出に伴う、i)実験設備の再立ち上げ、ii)実験室の整備、iii)金銭的な支出のため、研究計画の遂行が遅れている。特にiii)に関しては、現行科研費の枠内で、設備移転に伴う多額の支出をどの程度カバーできるかどうかを心配している。
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Strategy for Future Research Activity |
当座は設備の移設/再立ち上げに、全力を尽くす。ESR等、物性研究所で保有していた設備(の一部)は移設できないために、研究計画の見直しを行う。幸いにして、新たな研究室では、メンバーが大幅に増えたため、立ち上げが完了すれば、研究計画の部分変更を行い、うことにより、一度軌道に乗れば、研究計画を遂行してゆくことができると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画を実現するために、東京大学で利用していた研究設備の移設/再立ち上げが目下の急務である。そこで、今年度の大部分の研究費は、この目的のために用いる。
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