2013 Fiscal Year Research-status Report
極低温におけるバルクへテロ接合の電子輸送特性の研究
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24550147
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田島 裕之 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (60207032)
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Keywords | 導電性有機物 / 有機デバイス / 有機半導体 / 有機太陽電池 / 光CELIV |
Research Abstract |
申請者はH25年度に東京大学物性研究所から現在の勤務先である兵庫県立大学へ移動した。その結果研究環境が大幅に変化し、研究室および実験設備を再立ち上げをする必要があった。新しい研究室は、助教/准教授が既に実験設備を持っていたため、それらを整理し実験スペースを作った。助教からは、研究全般に関する全面的協力を取り付けた。6月には、物性研究所から設備を搬入し、蒸着装置、グローブボックス、レーザー、超伝導磁石、AFMの設置を行った。それに加えて、以前の研究室が保有していたレーザー顕微鏡を改造して、マニュピュレーターを用いた微細加工ができるようにした。また、修士1年および学部4年の学生を指導して、接合デバイスの作製できるようにした。修士1年の学生は、有機単結晶を用いた薄膜トランジスタの作製に成功し、この3月に学会発表を行っている。一方で、有機太陽電池に関しては、以前物性研究所で作成されていたのと同等の性能を持つ試料ができていない。この理由としては、試料の加熱条件が原因と考えられるため、この点に関して現在検討中である。また、極低温実験関連の設備に関しては、予算の関係から昨年度中に立ち上げることができなかった。立ち上げ作業を現在継続しているが、磁石電源の修理を除けば、今年度前半には完了すると考えている。上記の立ち上げ作業と並行して、物性研究所時代に取得したデータを共同研究者と共著で発表した。またSPring-8において、赤外反射スペクトルの電場効果に関する予備実験を行い、有望な結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の移動による研究環境の大幅な変化があったため、昨年度は事実上ほとんど研究ができなかった。このため目的達成という点では遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行にとって重要な点は、1)金+2)人間+3)スペースである。1)は移動直後で、厳しい財政状況のため不足しているが、自己資金を使ってでもやりぬく覚悟を決めた。2)は教育と言いなおしてもよい。以前の研究室と方向性が異なるために必ずしも理解されなかった点もあるが、1年かけて教育したことにより薄膜デバイス研究という新しい方針が現在では理解されつつある。また実際に、いくつかの新しい結果が出始めている。3)に関しては不足しているが、工夫次第で何とかなると考えている。 以上のように昨年度は、科研費の研究テーマを遂行する以前の段階で苦労したが、明るい兆しも見えており、今年度は、具体的な成果を出すとともに、以前と同等の研究環境を作ることに専心したい。
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