2013 Fiscal Year Research-status Report
逆ひも状ミセルによる非極性・低極性溶媒のレオロジー制御
Project/Area Number |
24550149
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (80313469)
|
Keywords | 逆ひも状ミセル / 分子集合体 / 界面活性剤 / 増粘剤 / 小角X線散乱 |
Research Abstract |
循環系での水ベース流体輸送の低エネルギー化に貢献するDR剤として用いられるひも状ミセルは界面活性剤分子同士の自己集合により形成されるため、ポンプなどで剪断を受けて結合が切断されても自発的に再構築が行われる自己修復機能を有する。一方、原油輸送や潤滑油においてもはDR剤あるいは粘度調整剤として高分子が添加されるが、循環利用により高分子鎖の切断により性能を失っていく。さらに、オイルクレンジング剤などの油剤ベースの化粧品製剤でも有効な高分子増粘剤が限られており、さらに十分な使用感を得られないという問題がある。これらの問題を解決するために、本研究においては非極性/低極性溶媒中における逆ひも状ミセルの形成を行い、高分子添加剤に替わる粘度調整剤としての機能を見いだすことを目的とした。前年度まではジグリセリンアルキルエーテルの炭化水素中での会合挙動を調べ、濃度、温度などのパラメータを変えたときにミセルの一次元方向の成長の仕組みを明らかにした。今年度は会合傾向を高めるために分子量を高めたデカグリセリンジオレイン酸エステル(DGDO)を用いて逆ひも状ミセルの形成を試みた。ヘキサデカン溶液において濃度が20wt%以上で溶液は非ニュートン性を示し、動的粘弾性測定より得られた貯蔵および損失弾性率の周波数依存性極性が交差する粘弾性体の挙動を示した。また、この挙動はMaxwellモデルによって表されるため、逆ひも状ミセルの形成が強く示唆された。小角X線散乱測定による集合体構造解析を行った。25℃におけるX線の散乱曲線をGIFT(Generalized Indirect Fourier Transform)法により解析したところ、シリンダー状構造に由来する二体間距離分布関数(pair-distance distribution function)が得られ、逆ひも状ミセルが得られていることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は非極性・低極性溶媒中での逆ひも状ミセルのキャラクタリゼーションと溶液の粘弾性特性解析を行う計画をたてた。その結果、逆ミセルの一次元方向の成長に伴う増粘挙動と高粘度溶液の粘弾性特性を明らかにすることができ、目的を概ね達した。
|
Strategy for Future Research Activity |
逆ひも状ミセルの形成に関する界面活性剤及び溶媒分子構造とミセル構造との関係を明らかにする。得られた知見を用いて溶液の増粘特性の向上を図る。ほとんどのリオトロピック液晶で見いだされている両親媒性分子集合体の構造対称性に関する理論をミセルについても提案する。
|