2014 Fiscal Year Annual Research Report
逆ひも状ミセルによる非極性・低極性溶媒のレオロジー制御
Project/Area Number |
24550149
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
荒牧 賢治 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (80313469)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 逆ひも状ミセル / 分子集合体 / 界面活性剤 / ブロックコポリマー / 粘弾性 / 小角X線散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
ひも状ミセルは界面活性剤などの両親媒性分子が自己集合することで形成される高分子鎖のように長く、柔軟性の高い分子集合体である。機械力による鎖の破壊に対して自己修復能を有することや、溶液を増粘・ゲル化させることが特徴である。水中におけるひも状ミセル形成に対して、無極性・低極性溶媒中で逆ひも状ミセルが形成される例は少なく、油剤の粘度調整やゲル化の必要な潤滑油、化粧品、医薬品などへの利用が期待されている。前年度まではポリグリセリンアルキルエーテルの炭化水素中での会合挙動を調べ、濃度、温度などのパラメータを変えたときにミセルの一次元方向の成長の仕組みを明らかにし、溶液の増粘挙動との関係を明らかにした。最終年度は両親媒性ブロックコポリマーであるポリ(オキシアルキレン)ペンタエリスリチルエーテル(PPE)を用いてオイルゲル化挙動及び逆ミセル構造を調べた。PPEは炭化水素に溶解せず、芳香族炭化水素およびエステル油へ溶解し、少量の水の添加によりオイルゲルが得られることがわかった。また、芳香族炭化水素よりもエステル油中においてより高い増粘効果が得られ、エステル油の分子構造にも増粘挙動は大きく依存することがわかった。最も増粘効果の高いデカン酸イソプロピル(IPD)系において、小角X線散乱スペクトルをGIFT(Generalized Indirect Fourier Transform)法により解析したところ、シリンダー状構造に由来する二体間距離分布関数が得られ、逆ひも状ミセルが得られていることが示された。また、水の添加量増加にともないミセルの直径及び長軸長さがともに大きくなることが分かった。これは、水がミセルのコア部に可溶化されることで長軸及び直径を変化させたこと、コア部に可溶化した水が親水基間の相互作用を増大させてミセルの会合を促進したためだと考えられる。また、エステル油の分子構造もミセルの形状やサイズに影響することが分かった。
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