2012 Fiscal Year Research-status Report
固体状態で強い燐光性発光を示す3次元渡環型白金錯体の創成
Project/Area Number |
24550156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小宮 成義 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (00301276)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 渡環型錯体 / 白金 / 固体発光 |
Research Abstract |
強い燐光を発する結晶材料の開拓は、高輝度デバイス開発の観点から、また、分子の配座や配列と発光挙動の関係を詳細に解明する基礎研究の観点から注目されるべき課題の一つである。申請者らは、平面型錯体であるトランス-ビス(サリチルアルジミナト)白金(II)に対し渡環構造を導入した3次元型のプラットフォームを構築し、同一置換基の置換位置の違いのみで、黄緑色から赤色まで結晶状態で高輝度発光を示すことを明らかにした。さらに、結晶構造を詳細に調べることで、分子配列と発光強度の熱耐性の関係を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機燐光性材料の開拓の分野においては、一般に結晶や高濃度薄膜のような高度凝集された発光体は、分子間のエネルギー移動による無輻射遷移や三重項-三重項失活が避けられず、高凝縮状態での燐光材料の開拓は、溶液や低凝縮薄膜の研究と比較して、未解決の課題であった。固体発光を達成するための手法として、金属-金属相互作用の利用による分子間相互作用の制御に関する研究が行われている。本研究の大きな成果として、金属-金属相互作用を用いなくても、水素結合による強固なネットワーク構造を持たせることで強い結晶発光を達成させることを示した。さらに、同一置換基の置換位置の違いだけで、99nmもの大きな発光波長シフトを行うことができる新しい方法論を提示した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、イミノフェノールやフェノキシカルベンをプラットフォームとする渡環型白金錯体の合成と結晶発光に関する研究を行ってきた。今後、渡環型錯体に関するさらなる基礎的知見を得るため、イミノピロールやイミノフェニル錯体など種々の新規プラットフォームを有する新規白金錯体の設計、合成を行っていきたい。これまで、強い結晶発光性のためには金属-金属相互作用を導入することが重要であるとされてきたが、我々は多次元水素結合による発光増強効果を見出した。今後、さらに、これらの金属-金属相互作用や水素結合とは異なる、新規な結晶発光に関する方法論を構築したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新規プラットフォームを有する白金錯体を設計し、配位子合成や錯体合成のために種々の条件検討に時間を必要とした。次年度は、白金やイリジウム錯体の基本原料を購入し、いくつかの新規発光性錯体を合成し、分子集合制御を利用することで、新しい概念による結晶発光性プラットフォームを構築していきたい。
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Research Products
(22 results)