2014 Fiscal Year Annual Research Report
電極上液膜や吸着膜のナノからマクロに及ぶ動きのその場分光電気化学追跡
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24550158
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
相樂 隆正 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20192594)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分光電気化学 / 液膜 / 吸着膜 / 動的電位駆動 / ファラデー相転移 / 超撥油性 / 単結晶電極 / ビオロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Au(111)電極上でジフェニルビオロゲンが、ハロゲンイオンを含む電解質水溶液中で示す二つの相転移過程を追究した。共存イオンを巻き込んだ有機分子のナノレベルの動きが生み出すマクロ応答に注目した。高度な電気化学トンネル顕微鏡(EC-STM)観測から、カチオンであるビオロゲンが、大きくポジティブな電位側で起こす非ファラデー過程は、ハロゲンイオン吸着層の上にビオロゲンジカチオン体が配列する機序によることを見出した。更に、ガス状吸着状態への変化と、一電子還元過程による鋭い相変化も、EC-STM観測できた。 2. ヘキサデカン(HD)小滴が付着した金多結晶電極において、水素ナノバブルが発生する電位領域で超撥油性が発現する。この現象はHDに限らず、多くの有機溶媒で起こることがわかった。表面張力バランスの極端な変化が、金/水溶液界面のナノレベルの変化から誘導され、マクロ油滴を動かす現象であり、今後の研究展開で機構を解明し、新しい洗浄技術やウェット系素子作製技術に発展させたい。 3. ビオロゲン部位を親水性ヘッドとし、水への溶解度が小さい界面活性剤分子(エイコシルメチルビオロゲン)を合成し、Au(111)電極にLangmuir膜として水平付着させ、電位応答を精査した。その結果、共存するハロゲンイオンの比較的緩慢な吸着量変化が、マクロな単分子膜構造を、鋭く多段階に変化させることがわかった。更に、ビオロゲンの酸化還元と共役した膜構造の非ファラデー過程による変化が起こりうることも示唆された。 4. Au(111)電極上でのHD微小滴の電位応答挙動を、水相に溶解した界面活性剤がどのように変化させるのか、マクロ滴の動きのビデオ撮影測定などで検討した。水/HD(液体)界面の表面張力を減少させる界面活性剤の効果は限定的で、むしろそれぞれ独立したマクロ挙動のため表面を奪い合う傾向が明らかになった。
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