2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノ炭素電極界面の新規構築法による機能化と電子移動反応特性解析
Project/Area Number |
24550159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨永 昌人 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (70264207)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 界面 / カーボンナノチューブ / 電極 / pH / 電気化学 |
Research Abstract |
本年度は、当初研究計画の通り、「高品質ドープ型カーボンナノチューブ電極作製法の確立」について検討した。 ナノチューブのキャップ先端部にのみ五員環が存在する。五員環は、ナノチューブ側面を構成しているグラフェンの六員環より、一般的に電気化学的に酸化されやすい。したがって、強力な酸化試薬を用いた場合にみられるナノチューブ側面(六員環)への酸化ダメージを与えることなく、キャップ部分の電気化学的酸化開管が可能である。そこで、単層カーボンナノチューブのキャップ開管およびその側面の酸化が起こり始める電位をまとめた、「電位vs. pHダイアグラム」を目的に検討した。 カーボンナノチューブはアスペクト比が極めて高いため、キャップ先端が酸化された場合でも、XPSやラマン分光法などのシグナルとしてはほとんど検出できなかった。そこで、キャップが開いたカーボンナノチューブには有機分子等が内包される現象を利用して、単層カーボンナノチューブ先端のキャップの開管を検討することにした。 CVD法によりAuワイヤー上にSWCNTを合成した(SWCNT/Au)。任意のpHに調製した電解質溶液中でSWCNT/Auに電位を印加後、β-カロテンの内包の処理を行った。電位印加によって開端されたSWCNTのラマンピークには、β-カロテン内包に由来する新規ピークが観測された。一方、開端されていないそれでは、そのピークは観測されなかった。同様にして各pHで開端が起こる電位を解析して、電位vs. pHダイアグラムを完成した。電解質溶液のpHが酸性側になるにつれてSWCNTの開端電位は高電位側へシフトし、biphasic的な挙動を示すことも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画の通りに、研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね研究計画に沿って進んでおり、今後の研究展開は下記の通りである。 1. ドープ型カーボンナノチューブ界面の電子移動反応特性 電気化学的手法を主として、電解質溶液中での拡散系レドックスプローブを用いての解析、ならびに吸着系酵素の直接電子移動反応による解析を進める。 2. ドープ型カーボンナノチューブの電子構造解析と界面特性との関連解明 近赤外蛍光法やラマン分光法を用いて、ドープ型カーボンナノチューブの電子構造解析を解析し、電子移動反応特性の結果と併せて総合的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、実験試薬類およびガラス器具を含めた器具類を計上している。 研究成果は、国内外での発信が必要であるとともに、最新の情報収集も研究を加速する上で重要である。学会参加費として予算計上している。 その他として、スクロールポンプのオーバーホール費用、学会参加費、論文別刷などの費用を計上している。
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Research Products
(13 results)