2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ炭素電極界面の新規構築法による機能化と電子移動反応特性解析
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24550159
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨永 昌人 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (70264207)
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Keywords | 界面 / カーボンナノチューブ / 電子移動 / ドープ / ラッカーゼ / 内包 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に沿った、「窒素ドープ型カーボンナノチューブ電極作製と吸着酵素電極反応」について検討した。また、「ドープ分子とカーボンナノチューブ電極電位との関係」について検討した。 窒素ドープ型単層カーボンナノチューブ電極は、アセトニトリルとエタノールの混合溶液を炭素源としたCVD法により合成できることが解った。アセトニトリルとエタノールの混合比により、0~5%程度の窒素ドープ量を制御できた。ピリジンやアニリン、尿素をアセトニトリルの代わりに用いた場合には、窒素はドープされなかった。酵素としてラッカーゼを用いて検討したところ、窒素含有率増加に伴い、ラッカーゼとナノチューブ間の直接的な電子移動反応が抑制されることが解った。Lac吸着量は1.9~2.0×10-10 mol cm-2(電極面積はBET表面積である)であり、窒素含有率の違いによる大きな差はなかった。これは、窒素ドープにより生じた窒素含有官能基のプラスチャージとラッカーゼのT1サイト周辺のマイナスチャージによる静電的相互作用の増大のためと考えられた。すなわち、窒素ドープによりナノチューブに吸着したラッカーゼの変性吸着の割合が増加したためと考察された。 単層カーボンナノチューブへのドープ分子としてβカロテンを用いた。β-カロテンを含む0.1 M 過塩素酸テトラ-n-ブチルアンモニウムのアセトニトリル溶液中で、その場ラマン分光電気化学測定を行った。βカロテンの内包挙動は、ナノチューブの電位に依存した。これは、ナノチューブのLUMOの電子とβカロテンのπ電子との相互作用が重要であることを示していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画の通りに、研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね研究計画に沿って進んでおり、今後の研究展開は下記の通りである。 1. 精密構造窒素ドープ型カーボンナノチューブの作製と界面の電子移動反応特性 単層カーボンナノチューブへの窒素ドープの構造を精密制御して、窒素ドープの影響を分子レベルで議論する。 2. カーボンナノチューブをモデルとしたsp2系炭素の酸化反応の解析と電子移動反応に及ぼす影響 カーボンナノチューブの酸化欠陥界面は電子移動反応系に大きな影響を及ぼす。ナノチューブの酸化程度を精密に制御した界面での電子移動反応について検討する。
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Research Products
(11 results)