2012 Fiscal Year Research-status Report
光応答性金属ナノ粒子ネットワークの合成と高効率光エネルギー利用
Project/Area Number |
24550161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小畠 誠也 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00325507)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / 金属ナノ粒子 / 光反応 / プラズモン / ネットワーク / 透過型電子顕微鏡 / 光散乱 |
Research Abstract |
本研究では、有機溶媒に可溶であり、高効率な光反応場として利用可能な金属ナノ粒子ネットワークの実現を目指す。平成24年度には、金ナノ粒子を被覆可能な両末端にSH基を有するポリマー(特に、ジアリールエテンポリマー)の合成を行った。すなわち、可逆的付加開裂型連鎖移動 (RAFT)重合において二官能性の連鎖移動剤を用い、重合と還元反応により両末端にSH基を有するポリマーを合成した。この方法によって、分子量と分子量分布の制御が可能であり、連鎖移動剤の濃度を変えることによって種々の異なる分子量のポリマーを得ることができた。GPC、1H-NMRで分子量およびポリマーの末端構造を明らかにし、95%以上の末端基導入率であることが確認できた。分子量の異なるポリマーを合成することは金ナノ粒子ネットワークの粒子間距離の制御に有効である。金ナノ粒子作製の典型的な方法であるBrust法に加えて、クエン酸還元法、Seeding Growth法、リンゴ酸還元法などにより金コアのサイズの異なる金ナノ粒子を合成し、両末端SH基を有するフォトクロミックジアリールエテンポリマーを被覆させ、金ナノ粒子ネットワークを作製した。透過型電子顕微鏡 (TEM)および動的光散乱 (DLS)により、粒子径およびネットワーク構造の広がりを検討した結果、TEMのグリッド上での広がりに比べ、DLSでの溶液中での広がりの方が広いことが明らかになった。これは、確かにネットワーク構造が形成されていることを示している。また、ネットワーク構造では、単一の金ナノ粒子に比べて、プラズモン共鳴吸収が長波長シフトすることが明らかとなった。今後、ネットワーク構造における光反応性について検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度において研究計画にあげた金ナノ粒子ネットワーク構造の作製に成功し、ジアリールエテンポリマーを被覆することに成功している。透過型電子顕微鏡によりその構造が明らかとなり、溶液中での光散乱での粒径測定の結果とよく一致する。ネットワーク構造にすることによりプラズモン吸収は長波長シフトし、ネットワーク構造を示唆している。関連研究の学会発表(13件)および学術論文(6件)で成果を発表し、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は、ネットワーク型金ナノ粒子のフォトクロミック反応の増強効果の定量的評価を行う。これまで単一の金ナノ粒子の金表面からの距離と増強効果との関係を定量的に評価してきたが、金ナノ粒子ギャップ間ではさらに高い増強効果が期待できる。平成24年度に合成した金ナノ粒子ネットワークを利用して、光開環反応性を定量的に評価し、ジアリールエテンのみの系と比較することにより金ナノ粒子ネットワークでの増強電場効果を明らかにする。このような金ナノ粒子ネットワークでは、単一ナノ粒子に比べて、数十倍以上もの大きな増強効果が期待できる。増強電場の空間領域の検討の結果と合わせると、高効率増強反応場を空間的に定量化することができ、本研究の目指す高効率フォトクロミック増強反応場の構築が可能となり、光機能材料設計の大きな指針となる。 さらに、他の金属ナノ粒子ネットワークの構築に関する研究を進める。銀ナノ粒子は金ナノ粒子に比べて、短波長領域にプラズモン共鳴吸収を有する。その増強電場効果は金ナノ粒子に比べて大きいことが期待されるが、粒子の作製方法が難しく再現性のある合成法が十分確立されていない。合成法の確立とネットワーク構造の作製を進め、フォトクロミック増強反応について議論する。 最終的には、光閉環反応および光開環反応性を評価し、高効率光反応場としての金属ナノ粒子ネットワークの構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(20 results)