2014 Fiscal Year Annual Research Report
放射性同位体の土壌から水圏への移行に及ぼす共存微量元素と微生物の影響
Project/Area Number |
24550176
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 覚 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00192667)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境放射能 / 微生物影響 / 福島土壌 / 移行 / 放射性セシウム / カリウム / 共存元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度までに得られた結果をもとに、福島市の森林下流水域の水田から基準値超の汚染米が出た原因を探ることを目的として研究を進めた。 調査した田は4枚あり、森林側からA, B, C, Dとした。土の放射能濃度は田により違いがみられれ、137Csでは C > D >> A >Bの順番、134Csでは C > D >> A> Bの順番、40Kでは D > C > A >> Bの順番であった。Bの土は、他の田の土に比べて、放射性セシウム、40Kとも低いことが分かった。それぞれの田の水のICP発光分析より、Bの田の水中のFe濃度が高くなっていた。これは、これまでの研究より微生物活動との関係が推測された。放射性セシウムの土から根への移行率では、A, Bの田ではC, Dの田より大きいことが分かった。根から茎への移行率では、40Kの移行率が大きいと放射性セシウムの移行率が小さいことが分かった。さらに茎からもみへの移行率では、A, Bの田では、C, Dの田より、放射性セシウムの移行率が大きいことが分かった。BとAの田のもみの放射性セシウムが僅かだが他の田より高い傾向がみられた。また、稲中の放射性セシウム濃度は時間とともに変化する可能性が推測された。以上より、もみの放射性セシウムの濃度は土の放射能濃度には無関係であること、共存するK濃度と関係することが分かった。また、その前の年度と比較して、それぞれの放射性セシウムの濃度は大きく減少していた。 本研究課題では、微生物の活動状況や共存元素と環境水中の全β放射能濃度との関係を明らかにしてきた。これは環境中での40Kなどのアルカリ金属の土壌から水への移動を明らかにするものであり、土壌中の放射性セシウムの稲、もみへの移行ついて理解するために意義があり、汚染米発現について理解するためにも重要である。
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