2013 Fiscal Year Research-status Report
高含水バイオマス変換プロセスにおけるダブルビームレーザーラマン定量技術の開発
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24550178
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
沼田 靖 日本大学, 工学部, 准教授 (10218266)
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Keywords | 分光分析 / ラマン分光法 |
Research Abstract |
環境工学やリサイクルの分野での試料は高含水で多成分系試料である。このような試料を分離なしでin-situ(その場)で迅速に定量できる分析装置の開発が急務となっている。この研究では対照試料と測定試料のラマンスペクトルを同時に測定できる装置(ダブルビームレーザーラマン装置と名付ける)を作製し、簡便に定量できる分析方法を開発することを目的としている。 平成24年度にはレーザー(532 nm)および分光器(Sol MS3504i)を購入し、既に所有していたCCD検出器を組み合わせることによりレーザーラマン分光装置を作製し、既存の方法でラマン分光法による定量分析法が可能であることをしめした。そこで平成25年度ではレーザーパワーを測定できる装置を購入し(OPHIR PD300)、透過光の強度を測定しながらラマンスペクトルを測定できるようにした。この装置を用いてアミノ酸の混合溶液のラマンスペクトルの測定を行い、レーザーパワーに対するラマン強度比を用いて定量分析が可能かどうか確認を行った。その結果、ラマン強度比は濃度に比例し、これまでの装置より簡便で正確にラマン分光法による定量が行えることを示した。この結果は、環境化学学会、廃棄物循環学会および新アミノ酸分析研究会で発表を行った。 しかしながら、溶液の量が変化すると透過光のレーザーパワーが変化するために、うまく定量を行うためには溶液量を一定にする必要があることがわかった。この点を改善することが次年度への検討課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度ではレーザーパワーを測定できる装置を購入し(OPHIR PD300)、透過光の強度を測定しながらラマンスペクトルを測定できるようにした。この装置を用いてアミノ酸の混合溶液のラマンスペクトルの測定を行い、レーザーパワーに対するラマン強度比を用いて定量分析が可能かどうか確認を行った。この結果、ラマン強度比は濃度に比例し、これまでの装置より基準物質とのラマン強度を測定するより簡便で正確にラマン分光法による定量が行えることを示した。しかしながら、溶液の量が変化すると透過光のレーザーパワーが変化するために、うまく定量を行うためには溶液量を一定にする必要があることがわかった。この点を改善することが次年度への検討課題となった。また、発酵によって生成するバイオガスの定量も行う予定であったが、24年度に作成した装置では感度の関係でスペクトルが得られなかった。そのため,もう一つのラマン装置である顕微分光ラマン分光装置(Jasco NRS100)を使う必要があることが分かった。 新たな検討課題が出てきたが、レーザーパワーをモニターしながらラマンスペクトルを測定すると、レーザーパワーに対するラマン強度比が濃度に比例することを明らかにできたので概ね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
溶液の量が変化すると透過光のレーザーパワーが変化するために、定量を行うためには溶液量を一定にする必要があることがわかった。この点を改善することが次年度への検討課題となった。そこで、レーザーパワーを分波できるように装置を改良する予定である。 実験では今年度は実際の廃棄物から抽出されたサンプルの定量も行う予定である。特に発酵で生じるバイオガスの測定を行う。気体の測定では現有のJacso社NRS1000の外部プローブを用いてラマンスペクトルを測定する。その際のレーザーパワーを同時測定することによりレーザーパワーに対するラマン強度比が濃度に比例することにより定量分析を行う予定である。 学会は分析討論会、日本分析学会年会、廃棄物資源循環学会で発表する。 また、この装置を使ってラマンスペクトルでも簡便に正確に定量できるという方法論までを分析関係(Elsevier社Talanta)の雑誌に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レーザーパワーを測定するのに透過光を用いていたが、溶液の量によって強度が変化してしまうため、レーザーを分波するためのミラーおよびミラーを固定する光学ホルダーの購入が必要となった。しかし、購入予定のミラーとホルダーの価格が残予算よりも高かったので購入ができず、余剰金が生じてしまった。 まず、物品費ではこのミラーとホルダーを購入する。残りの予算を用い、今年度の実験では発酵気体の定量を行うのでその標準ガスと光学部品をの購入を予定している。なるべく径の小さいミラーを使用することにより、増税分の価格差をカバーする予定である。 今年度は研究の最終年になるので、学会発表も三つ(分析化学討論会、日本分析化学会年会および廃棄物循環学会)予定している。日本分析化学年会と廃棄物循環学会は広島で開催されるのでそのための旅費として使用する。また、これまでの結果を学術雑誌に投稿するので英文校閲費と別刷り購入費にあてる。
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