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2012 Fiscal Year Research-status Report

生体触媒とパラジウム触媒をシンクロさせた多様性核酸プローブの創製

Research Project

Project/Area Number 24550193
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionShibaura Institute of Technology

Principal Investigator

幡野 明彦  芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (10333163)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords核酸代謝酵素 / チミジンホスホリラーゼ / 非天然ヌクレオシド / 蛍光色素 / イメージング / 酵素合成
Research Abstract

本研究では,核酸代謝酵素を利用して蛍光色素や各種プローブを有するデオキシウリジンを簡単迅速に合成する手法を確立する.
核酸代謝酵素は,生体内の遺伝子暗号となるヌクレオシドの濃度バランスを司っている.なかでもチミジンホスホリラーゼは,チミジンとリン酸を基質とし,塩基部位であるチミンを遊離させてデオキシリボース-1-リン酸に変換する.本研究室ではこの酵素を利用して,ウラシルの5位に様々な置換基を導入した化合物が基質となり,非天然ヌクレオシドに変換できる事を報告してきた.今回,細胞内RNAイメージングや遺伝子解析のためのプローブ分子として働く,蛍光色素を有するデオキシウリジンの酵素合成を試みた.
基質となる蛍光色素修飾ウラシルの有機化学的合成を行った.1-ヒドロキシブト-4-インにクマリンを結合し,パラジウム触媒を用いた薗頭カップリングにてウラシルの5位に蛍光色素を導入した.このとき,ウラシル部位と蛍光色素をつなぐアルキル鎖長(n)を2,4,6と変化させ,アルキル鎖長による酵素認識が変化するかを検討する事とした.酵素合成は,バイアル瓶にクマリン修飾ウラシル5mM,チミジン50mM,チミジンホスホリラーゼを10ユニット,1mMリン酸緩衝液pH 6.8を加え,37℃で実施した.反応追跡は,逆相カラムを有した高速液体クロマトグラフィーにて行った.
クマリン修飾ウラシル(n=4)を基質としても酵素反応が進行し, 1.8 %の転換率でクマリン修飾デオキシウリジンへ変換できた.クマリン修飾ウラシル(n=4)は,反応溶媒であるリン酸緩衝液に溶解しないため,酵素と基質の衝突頻度が極端に低下していると考えられた.溶解性を向上して収率の改善を試みるため,有機溶媒の添加を検討した.DMSOを40%添加した時が最も効率が高く,クマリン修飾デオキシウリジンの合成は,57%まで改善する事ができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計画書に記載した通り,チミジンホスホリラーゼの基質の有機合成と非天然ヌクレオシドへの変換反応を実施する事ができた.なかでも,クマリン色素をウラシルの5位に化学結合させたデオキシリボース体を,有機溶媒存在下で酵素合成する事に成功した.この反応を拡張できれば,蛍光色素や機能性官能基導入デオキシウリジンが一段階,立体選択的に可能となり,遺伝子診断等に利用できるプローブ分子の調整が容易になる.
2012年度は,チミジンホスホリラーゼによって触媒される基質の合成を行った.その基質とは,ウラシルの5位にリンカーを介して蛍光色素などの機能性分子を有する化合物である.現在のところ,ウラシルと蛍光色素であるクマリンをアルキル鎖長2,4,6で結んだ修飾ウラシルの合成を完了した.これらの基質アナログを用いて,チミジンホスホリラーゼによる塩基部位交換反応の検討を行った.クマリン修飾ウラシルは,リン酸緩衝液中ではチミジンホスホリラーゼによってほとんど触媒されないが,有機溶媒である DMSO を添加する事で格段に反応効率を向上させる事ができた(n = 4,DMSO 40% で 57 %).クマリンの様に大きな官能基を有したウラシルでも,リンカーの長さを適切に制御すれば,非天然ヌクレオシドへの変換反応が可能である事がわかった.
酵素の基質特異性は鍵と鍵穴の関係で説明される.今回の基質は,鍵の部分がウラシルであり,鍵の柄の部分がリンカー,鍵の持ち手の部分がと蛍光色素であるクマリンと考えられる.ウラシルは酵素内部に入り触媒反応を受けるが,クマリン部は酵素表面より外に出て,反応には関与しなかったと考えられた.
本原理を応用して,様々な機能性原子団の導入を今後行っていきたい.

Strategy for Future Research Activity

1)2013年度は,蛍光色素とウラシルを結ぶアルキル鎖長の検討を行う.
2)基質を溶解し,チミジンホスホリラーゼを失活させ無い有機溶媒の探索も行う.
3)セミ分取高速液体クロマトグラフィーを購入する事で,新規非天然ヌクレオシドの単離精製を迅速に行い,核磁気共鳴法,質量分析法による構造決定を迅速に行う.
4)パラジウム触媒を用いた薗頭カップリングを中心とした有機合成を行い,チミジンホスホリラーゼの基質になりうるものを探索する.基質合成後,実際の酵素反応を実施することで非天然ヌクレオシドの合成が可能下を評価する.酵素反応で合成できたデオキシリボース体は,2013年度に購入する予定である高速液体クロマトグラフィーを用いてセミミクロ分取を行う.
本原理を応用して,様々な機能性原子団の導入を今後行っていきたい.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1)2013年度にセミ分取用高速液体クロマトグラフィーを購入する(115万).直径 2 cm程度の逆相カラムを利用して,酵素合成後の目的ヌクレオシド化合物の単離精製を行う.本装置により,新規化合物の単離精製が迅速になり,構造決定が容易になると期待される.
2)基質の有機合成,ならびに酵素による機能性原子団を持ったデオキシヌクレオシドの合成を繰り返し行う.試薬や有機溶媒,ガラス器具,プラスチック容器等の消耗品費が必要となる.
3)2013年度に論文の投稿を予定している.英語論文校閲費が必要となる.また,学会発表も予定しているため,研究旅費が必要となる.

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 蛍光プローブ含有ヌクレオシドを合成可能にする分子フラスコとしてのチミジンホスホリラーゼ2012

    • Author(s)
      須永裕太,黒須優幸,出崎健太郎,与那覇奨,幡野明彦
    • Organizer
      第16回生体触媒化学シンポジウム
    • Place of Presentation
      富山県民会館
    • Year and Date
      20121126-20121127

URL: 

Published: 2014-07-24  

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