2012 Fiscal Year Research-status Report
過酸化水素バイオイメージングのための高速・高感度過酸化水素蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
24550197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
人見 穣 同志社大学, 理工学部, 准教授 (20335186)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 過酸化水素 / 蛍光 / 細胞 |
Research Abstract |
既に過酸化水素と迅速に反応し酸化活性種を与える小分子金属錯体に着目し、プロ蛍光団AmplexRedを分子内に有する単核鉄錯体(MBFh1)を設計、合成している(Y. Hitomi, T. Takeyasu, T. Funabiki, and M. Kodera, "Detection of Enzymatically Generated Hydrogen Peroxide by Metal-Based Fluorescent Probe", Analytical Chemistry, 2011, 83 (24), pp 9213–9216.)。本年度は、MBFh1を用いて細胞内外の過酸化水素の検出を試みた。その結果、MBFh1は細胞培養条件において、MBFh1のアミド部位が自発的な加水分解を受け、過酸化水素非存在下においても赤色蛍光を与えることが判明した。そのため、アミド結合を持たない新たな単核鉄錯体MBFh2を設計、合成した。現在までにMBFh2の合成と基礎的な解析を終えている。MBFh2はMBFh1と同様、秒単位で過酸化水素と反応し、赤色蛍光を与えること、また、細胞培養条件においても十分に安定であることを確認している。HeLa細胞、A431細胞に対して、MBFh2を添加した結果、顕著な細胞毒性は認められなかった。MBFh2は細胞透過性を有しており、MBFh2をHeLa細胞あるいはA431細胞に添加後、外部から過酸化水素の添加に対し、細胞内に赤色蛍光の増大が観測された。また、上皮成長因子の添加によっても、A431細胞内に赤色蛍光の増大を観測することができた。以上、本年度は研究計画どおり、細胞実験に用いることが可能な高感度の過酸化水素蛍光プローブの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、今後の実験の核となる細胞実験に利用可能な高感度過酸化水素蛍光プローブMBFh2の開発に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
MBFh2を用いて上皮成長因子の添加によって発生する過酸化水素の濃度上昇過程、局在化を蛍光顕微鏡を用いて観測する。更に、併行して、MBFh2の改良を進める。具体的には、細胞外の膜近傍で発生すると考えられている過酸化水素の検出のために、細胞膜局在化が可能な高感度の過酸化水素蛍光プローブを開発する。また、細胞内への移行効率の向上と細胞内器官への局在化を実現するために、過酸化水素蛍光プローブMBFh2への膜透過ペプチドの導入も行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はMBFh2およびその改良型蛍光プローブのための合成試薬、ペプチド、溶媒、ガラス器具、また、細胞培養に必要な試薬を計上している。
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