2015 Fiscal Year Annual Research Report
非天然型リジン誘導体をプローブとしたケミカルバイオロジー
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24550203
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柳沢 達男 国立研究開発法人理化学研究所, 横山構造生物学研究室, 研究員 (10450420)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオテクノロジー / 非天然型アミノ酸 / タンパク質 / 翻訳後修飾 / ケミカルバイオロジー / tRNA / ピロリジン / ピロリジルtrNA合成酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
有用官能基を有する非天然型アミノ酸を部位特異的に導入する方法は生命科学研究において重要な基盤技術となっている。ピロリジルtRNA合成酵素(PylRS)/tRNA(Pyl)ペアは多くの宿主由来のアミノアシルtRNA合成酵素、tRNAと交差反応しない優れた非天然型アミノ酸導入システムである。現在では更なる改良が進められ翻訳後修飾、ラベル化、局在検出、相互作用検出、抗体医薬など生命科学研究に広く利用される系へと進化を遂げた。一般的にヒストンタンパク質などでは複数のアミノ酸残基が翻訳後修飾を受けているため、翻訳後修飾関連アミノ酸の複数導入が望まれているが、一方でタンパク質内の複数カ所へ非天然型アミノ酸を導入することはUAGコドンで拮抗する翻訳終結因子RF1が存在する野生株では困難であった。これまでに申請者らのグループは理研で作製されたRF1欠損大腸菌株を用い、有用官能基を含む非天然型アミノ酸や非標準アミノ酸をタンパク質内の複数カ所に導入することを試みてきた。アセチルリジンについてはRF1欠損株の無細胞タンパク質合成系においてヒストンタンパク質の修飾サイトである4カ所のリジン残基の位置に導入することに成功している。更に本研究ではRF1欠損株の細胞発現系、無細胞タンパク質合成系、およびPylRS/tRNA(Pyl)を利用してヒストンH3タンパク質のK4、K9、K27、K36、K79の位置にメチルリジン誘導体BocKme1を部位特異的かつ効率的に導入し、Boc基を化学的に脱保護することでモノメチルリジンを複数含むタンパク質を数mg~数十mgオーダーで調製することに成功した。本研究におけるモノメチルリジン含有ヒストンタンパク質の調製法を利用することでエピジェネティクス研究の進展が期待される。
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