2014 Fiscal Year Annual Research Report
全固体薄膜リチウム電池技術を応用したイオン・電子伝導分離に関する基礎研究
Project/Area Number |
24550206
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑田 直明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00396459)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 混合伝導体 / リチウムイオン電池 / イオン伝導度 / 拡散係数 / 交流インピーダンス / 固体電解質 / 正極材料 / 不定比性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、混合伝導体である正極材料のイオン伝導・電子伝導度を分離して計測する手法を開発することである。そのために、薄膜電池技術を用いて電子ブロッキング電極を作製し、可逆的にリチウムイオンを通すことでイオン伝導を分離測定した。 初年度はコバルト酸リチウム薄膜のイオン伝導・電子伝導度を評価するために、アモルファスのリン酸リチウム薄膜を電子ブロッキング電極として用いたセルの作製を行い、インピーダンス法によりイオン伝導・電子伝導度を評価した。室温(25℃)でのLiCoO2薄膜のイオン伝導度は2.8×10-5 Scm-1、電子伝導度は1.1×10-2 Scm-1であった。さらに、イオン伝導の活性化エネルギーは0.3 eVと見積もられた。本研究により初めて正極材料のイオン伝導・電子伝導度の評価に成功した。 二年目以降は、正極の充電時の物性を明らかにするために、リチウムを脱離したコバルト酸リチウム薄膜のイオン伝導・電子伝導度を評価した。充電時にリチウムが電気化学的に脱離されると、コバルト酸リチウム結晶のリチウムサイトに空孔ができ、同時にコバルトのd軌道が形成する価電子帯にホールが導入されてイオン伝導・電子伝導ともに大きく変化すると予想される。リチウム脱離は酸化剤NO2BF4による化学的手法で行い、リチウム量は酸化剤の濃度と処理時間で制御した。リチウム脱離による構造変化はラマン分光法、X線回折法により検出可能であった。室温(25℃)でのLi0.9CoO2薄膜のイオン伝導度は1.2×10-4 Scm-1、電子伝導度は1.3 Scm-1であった。イオン伝導の活性化エネルギーは0.3 eVと見積もられた。予想されたように、イオン伝導と電子伝導のどちらも上昇し、リチウム拡散がきわめて速いことが実験的に裏付けられた。以上の成果はLIBD2013国際会議、日本物理学会において発表された。
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[Journal Article] Nanoscale diffusion tracing by radioactive 8Li tracer2014
Author(s)
H. Ishiyama, S.-C. Jeong, Y. Watanabe, Y. Hirayama, N. Imai, H. Miyatake, M. Oyaizu, I. Katayama, A. Osa, Y. Otokawa, M. Matsuda, K. Nishio, H. Makii, T. Sato, N. Kuwata, J. Kawamura, A. Nakao, H. Ueno, Y. H. Kim, S. Kimura, M. Mukai
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Journal Title
Japanese Journal of Applied Physics
Volume: 53
Pages: 110303
DOI
Peer Reviewed
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