2012 Fiscal Year Research-status Report
連結部位に発光性基を配置した多機能性ブロック共重合体の合成と有機EL素子への展開
Project/Area Number |
24550209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
荻野 賢司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10251589)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ブロック共重合体 / 有機EL素子 / 連結部位 / 自己組織化 / 多機能多相系 |
Research Abstract |
本研究では、接合部位に発光性単位を配置した正孔輸送性部位と電子輸送部位からなる多機能性ブロック共重合体し、有機電界発光(EL)素子へ展開することを目的としている。平成24年度は目的とするブロック共重合体の精密合成する手法を確立し、予備的な実験として一部のブロック共重合体を用いて有機EL素子を作製評価した。 まず、正孔輸送部位にはC-Nカップリング重合により合成可能なポリトリェニルアミンを、電子輸送部位にはビニル重合(原子移動型ラジカル重合)により合成可能なポリオキサジアゾールからなり、接合部に蛍光色素であるフェノチアジン部位を配置したブロック共重合体を設計・合成した。接合部に蛍光色素を配置するためには、最初の重合反応において導入される発光機能を備えた開始末端から、さらに第2のブロックを構築していく必要がある。このような構造を実現するために、蛍光発光色素を含み、かつ別々の2つの重合反応を開始できる2官能基開始剤を用いた。 次にコンセプトは同じであるが、異なった重合方法に全機能を備えたブロック共重合体を合成した。このブロック共重合体はポリフルオレン(電子輸送材料)とポリトリフェニルアミン(正孔輸送材料)からなっており、接合部に発光部位としてフェノキサジン単位(緑色発光)を導入した。ポリフルオレンの合成には鈴木-宮浦カップリング反応を用いた。ジブロマイドと2官能ホウ酸エステルを用いるが、ホウ酸エステルをわずかに過剰用いることで、ホウ酸エステルを末端に有するホモポリマーを合成した。この末端に臭素化されたフェノキサジンを作用させ、末端フェノキサジンのポリフルオレンを合成した。このポリマーの存在下、C-Nカップリング重合を行うことで、両末端にポリトリフェニルアミンを導入した。このトリブロック共重合体を利用してEL素子を作製・評価したところ連結部に由来する緑色の発光が実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」に記載したように平成24年度は、目的とするブロック共重合体の合成法の確立が大きな目標であったが、異なる2つの方法で合成法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
基板との相互作用、空気界面との相互作用などを考慮しつつ、分子量、化学組成、発光部位の構造など高分子の構造最適化を行う。その後、ブロック共重合体または対応する単独共重合体/ブロック共重合体の薄膜の形態制御を行い、正孔輸送成分が陽極側に、電子輸送成分が陰極側に偏在し、かつ界面に発光部位が配置された疑似的な積層構造を与える作製条件を見出す。膜厚が80-100 nm程度の薄膜作製時の溶媒の種類や濃度、単独重合体の添加量、後処理(熱アニール、溶媒アニールなど)の条件と薄膜の形態との関連を検討する。ブロック共重合体のドメインが10-20 nm程度の形態を与えることが予想できるが、単独重合体を添加していくことでドメインサイズが大きくなり理想的な50 nm程度のドメインサイズで、かつ基板に対して平行に配列したラメラの形態となることが期待できる。形態観察は透過型電子顕微鏡を用いる。 上記の薄膜を活性層として用いた有機EL素子を作製し、電流-電圧特性、発光特性(最高輝度、発光効率)などを測定し材料の分子構造、薄膜の高次構造との関連を明らかとし、高効率素子のための材料設計、作製プロセスの指針を示す。測定には研究室現有の装置、設備が利用可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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