2012 Fiscal Year Research-status Report
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24550212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 勲 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00272708)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | π共役高分子 / 熱電変換素子 / ゼーベック係数 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
ピリジン環とトリアゾ-ル環から成るπ共役高分子の側鎖にナトリウムイオンを包接可能な15クラウン 5-エーテル(15C5)側鎖を導入したn型π共役高分子(polymer-1)を合成した。また、15C5の代わりに4-メトキシフェニル合成したn型π共役高分子(polymer-2)も合成した。これらの高分子の構造をNMRやIRスペクトルにより同定した。polymer-1とpolymer-2をナトリウムナフタレニドのテトラヒドロフラン(THF)溶液にさらすことでn-ドーピングを行った。 両高分子供に、nードーピングすることで電気伝導度が未ドーピング状態のものと比較して約4桁向上した。しかし、nードーピングした両高分子の空気中での安定性は大きく異なった。つまり、polymer-1ではnードーピングにより高分子中に取り込まれたドーパントイオンであるナトリウムイオンが15C5中に取り込まれたため、空気中でもnードーピング状態をある程度安定に保つことができた。一方、polymer-2ではnードーピング後に空気中にさらすと、速やかに空気化されてしまい、電気伝導度は急激に低下した。この結果は、nードーピングしたpolymer-1の空気中に放置しても、キャリアー濃度があまり減少しないことを意味している。 ゼーベック係数は、キャリアー濃度の2/3乗に反比例することが知られている。nードーピングしたpolymer-1の空気中でのゼーベック係数の経時的な増加度は、nードーピングしたpolymer-2と比較して小さかった。この結果は、nードーピングしたpolymer-1の空気中でもキャリアー濃度があまり変化しないことに対応するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、熱電変換素子用ソフトマテリアルの創製を目指すものである。熱電変換素子には、p型とn型導電体が必要となる。n型π共役高分子に電気伝導性を付与するには、nードーピングする必要があるが、一般にnードーピングされたn型π共役高分子は空気酸化されてしまうため、空気中で不安定とある。今年度は、空気中におけるnードーピング状態の安定性が向上したn型π共役高分子を合成することができ、その熱電特性を評価することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、熱電変換素子用ソフトマテリアルとして、高い電気伝導度と大きなゼーベック係数をもるp型π共役高分子の創製を目指す。具体的には、側鎖にアルキルスルホン酸をもつポリチオフェンを合成する。この高分子では、側鎖のアルキルスルホ基がドーパントとして機能する自己ドーピングを起こし、電気伝導性を発現することが期待される。この高分子の電気的性質や熱電特性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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