2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550212
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 勲 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00272708)
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Keywords | 導電性高分子 / 熱電変換 / ゼーベック係数 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
自己ドープ型のポリアニリンスルホン酸(PAS)と水酸化ナトリウムとの種々の仕込み比による酸ー塩基反応により、PASナトリウム塩を合成した。これらの反応により、ナトリウム塩化率の異なる5種類のPAS-Na(0.2), PAS-Na(0.4), PAS-Na(0.6), PAS-Na(0.8), PAS-Na(1.0) (括弧内の数値は、ナトリウムスルホン酸ユニット含有率を表す)を得た。PAS-Naの電気化学的酸化電位は、ナトリウム塩化率が高くなるにつれて、低電位に観測された。また、ナトリウム塩化率が高くなるにつれて、PAS-Naの電気伝導度が低下した。この結果は、PAS中のスルホン酸基がスルホン酸ナトリウム基に変換されたことにより、スルホ基によるPAS主鎖の自己ドーピングが阻害されることに由来する。一方、PAS-Naのゼーベック係数は、ナトリウム塩化率が高くなるにつれて向上した。この結果は、ナトリウム塩化率が高くなるにつれて自己ドーピングが阻害されることに基づく、PAS-Na内のキャリアー数の低下によるものと考えた。ここで、ゼーベック係数は、理論的にキャリアー数の2/3乗に反比例することが知られており、本結果とよく対応している。今回の研究により、自己ドープ型の導電性高分子のゼーベック係数制御に関する指針が得られたことになる。つまり、電気伝導度の低下があまり大きくならない程度にPASのスルホ基をナトリウム塩化して、キャリアー数を減少させればよいことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、熱電変換素子用ソフトマテリアルの創製を目指すものである。熱電変換素子には、p型とn型導電体が必要となる。昨年度は、空気中におけるnードーピング状態の安定性が向上したn型π共役高分子の合成に成功し、その熱電特性を評価することができた。今年度の研究では、自己ドープ型のp型導電性高分子のゼーベック係数を制御することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに合成したp型とn型の導電性高分子を用いて熱電変換素子を作製し、その性能を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度末に計画していた研究が少し遅れてしまったため、昨年度中に使用することができなかった。 次年度使用額は150円と少額なので、今年度予算に組み入れて使用する。
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