2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550215
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
木枝 暢夫 湘南工科大学, 工学部, 教授 (80169812)
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Keywords | 鉛蓄電池 / サルフェーション / 高分子添加剤 / 充放電挙動 / 硫酸鉛被膜の形状 |
Research Abstract |
昨年度の結果に基づき,以下の研究をおこなった. 1.充放電試験の条件を検討した結果,バイク用バッテリーをモデルセルに用いて,10回程度までのサイクル充放電試験を安定しておこなえるようになった.その結果,高分子添加剤が充放電挙動に及ぼす影響を確認することができた.しかしながら,添加剤のプラスの効果はサイクル試験の初期では明瞭である一方で,サイクルが進むと却ってマイナスに働く挙動も見られた.そこで,添加剤濃度をこれまで最適と考えていたよりも希薄にした条件を試験したところ,その方がサイクル回数を増加させた際の効果が高くなる可能性が見出された.現状では十分に大きな回数のサイクル試験ができていないため,この点をさらに検討することが次年度への課題と考えている. 2.高分子添加剤による硫酸鉛被膜の形状変化は,本年度も同様に確認された.しかしながら,その違いの原因については,解明することができていない.また,放電後の電極を長時間放置してサルフェーションの進行を確認する実験においても,1ヶ月程度の放置ではほとんど変化が見られなかった.したがって,次年度は温度を上げた加速試験などの実施を検討する予定である.これらの試験においては,高分子添加剤濃度をこれまでよりも希薄にした条件についてもおこない,サイクル試験において認められた挙動の違いと,硫酸鉛被膜の形状変化の間の相関関係をより詳細に検討し,原因究明につなげていきたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
充放電試験については,装置を増設し,安定した結果を得られるようになった.しかしながら一方で,計画立案時に把握していた最適条件を中心とした試験条件の設定が必ずしも正しくなかった可能性が見出され,計画を修正する必要が生じている.これによって,当初期待していたペースでの現象解明は進んでいない. また,研究代表者の本務多忙については,本年度もまったく解消されないばかりかさらに程度を増しており,外部の実験補助者を手当てすることも十分にできていないため,研究の速度を高めること自体が難しい状況である.加えて,本年度も電子顕微鏡などの評価装置にトラブルが続き,こちらも研究の進捗を妨げる問題となっているが,装置更新の予定は無く,何とかこの状態で最大限の努力をおこなう必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
今に至っては,当初の目的を研究期間内に完遂することは不可能と言ってよく,少なくとも以下の二つの点についての明確で再現性のある結果を得ることを目指したい. 1.100回オーダーのサイクル充放電試験を安定におこなう条件を確立し,高分子添加剤の種類と濃度が充放電特性全体に及ぼす影響を明らかにする. 2.サルフェーションにより生じる硫酸鉛被膜の形状が高分子添加剤によって変化する挙動を,充放電試験の結果と結びつけて説明できるようにする. また,研究の速度を上げるために,外部からパートタイムの実験協力者を招くことを検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた主な理由は,研究代表者の本務多忙のため計画していた学会出張ができず,旅費の使用額がゼロになっているからである. また,研究で使用したバッテリーの廃棄が,所属機関と委託先の契約締結が遅れて,年度内の処理ができなかったことも理由である. 本年度は研究の最終年度に当たるため,不要となったバッテリーの廃棄が必要となり,これに相当の経費を要する予定である. また,少なくとも1回の学会発表とそれに基づく論文発表はおこないたいと考えており,それに要する経費と最終報告書を作成するための費用も必要となる. これらと通常の研究経費を合わせて,予算の使用を着実に遂行したい.
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