2013 Fiscal Year Research-status Report
有機物に不燃性を付与させる含フッ素ナノコンポジット類の創製
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24550220
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤田 英夫 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50259909)
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Keywords | 不燃性 / Nafionの不燃化 / 耐光性 / 含フッ素シリカナノコンポジット |
Research Abstract |
フルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジットおよびフルオロアルキル基含有オリゴマー/フッ化カルシウムナノコンポジットの不燃性付与に関する機構を解明させることを目的として、研究を進めた。その結果、Nafionは可燃性を示すフッ素系高分子としてよく知られているが、ヘキサフルオロシリケートアニオンを生成し不燃性を示すペルフルオロ-1,3-プロパンジスルホン酸/シリカナノコンポジットコア内へこのNafionをカプセル化させることによりNafionの不燃化に成功した。特に、800℃焼成後においても Nafion中のスルホ基は酸としての触媒活性さらにはプロトン伝導性を示すことを初めて見いだした。この知見は極めて興味深い研究成果である。アンモニウムヘキサシリケートの生成による不燃性の発現はまた、含フッ素オリゴマー/シリカナノコンポジットコア内へカプセル化させた低分子芳香族化合物への不燃性付与以外に、耐光性を著しく高めることにも成功した。これらの研究成果は、今後、新しいフッ素系機能性材料としての展開を大いに可能とさせるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では予想できなかったフッ素系高分子化合物であるNafionの不燃化に成功し、特に800℃焼成後においてもNafionに起因した高い酸触媒活性さらにはプロトン導電性を示した研究成果は極めて高く評価できる。さらに含フッ素オリゴマー/シリカナノコンポジットコア内へカプセル化させた低分子芳香族化合物への不燃性付与以外に耐光性を著しく高めることに成功した点も高く評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、有機物に対して不燃性を付与させる含フッ素ナノコンポジット類の表面改質剤への応用と改質膜表面の耐熱性に関する基礎的な評価に関する研究を進めていく。 具体的には、800℃焼成前後の不燃性フルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジットさらにはフルオロアルキル基含有オリゴマー/フッ化カルシウムナノコンポジットによるポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、セルロース等の汎用の有機高分子材料の表面改質剤への応用に関して検討を行い、特に、これらナノコンポジットにより改質された有機高分子膜表面の燃焼性を含めた耐熱性に関する検討を行い、今後の実用化レベルでの応用展開の基礎となる不燃性に関する基礎的な知見を得ていく。さらに、これら基礎的な知見をもとに有機化合物へ不燃性を付与させる含フッ素ナノコンポジットの創製に関する研究の総括を行う。
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Research Products
(14 results)