2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24550228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 教授 (20261399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 教授 (70261401)
金 敬鎬 北見工業大学, 工学部, 助教 (70608471)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スマートウィンドウ / 水酸化物薄膜 / スパッタ成膜技術 |
Research Abstract |
スマートウィンドウ用のポーラスで電気化学的特性の優れた水酸化物薄膜を作製することを目的として、スパッタ成膜技術の検討、及び薄膜作製の実験を行い、以下の成果を得た。 1. 水蒸気雰囲気中で安定に水酸化物薄膜を作製するため、高温対応マスフローコントローラを用いた水蒸気供給システムを作製した。超純水を60℃に加熱し、約20 kPaの圧力の水蒸気を発生させた。水蒸気の流量は、凝結を防ぐため約80℃に保持した高温対応マスフローコントローラにより制御し、最大5 cc/minの水蒸気を安定にスパッタチャンバへ供給できることを確認した。 2. プロトン伝導性固体電解質への応用を目的として、YOOH-nH2O、ZrO2-nH2O、TiO2-nH2O、Ta2O5-nH2O、Nb2O5-nH2Oの各水和酸化物薄膜を作製した。X線回折、及びX線反射率の測定より、いずれの試料も基板温度の低下とともに膜密度が低下し、アモルファスでポーラスな膜構造になることを確認した。特に、基板温度-30℃で作製したZrO2-nH2OとTa2O5-nH2O薄膜は、バルクに対する相対密度が70%以下となり、基板温度の低温化が低密度化に有効であることを確認した。また、10 μS/m台の高いイオン伝導率を得た。 3. 水蒸気を凝結させ、氷と水酸化物の混合膜を作製するため、ペルチェ素子を用いる方法と液体窒素を用いる方法の2つの基板冷却方式を検討した。まず、ペルチェ素子を用いる方法では、-40℃まで基板温度を冷却できたが、スパッタ成膜中はプラズマによる加熱のため、-30℃付近まで温度が上昇した。また、液体窒素を用いた基板冷却ホルダを試作したが、液体窒素の供給パイプが細過ぎたため、十分な量の液体窒素を供給することができず、基板を冷却することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水蒸気供給システムの作製、及び水酸化物薄膜の作製と評価については、ほぼ当初の予定通り順調に進展している。特に、プロトン伝導性固体電解質である水和酸化物薄膜の低密度化を実現し、高いイオン伝導率を得ることができた。 しかし、基板冷却方法の検討と、氷と水酸化物の混合膜の作製については、予定より遅れている。当初は、スパッタ成膜を行う1 Pa程度のスパッタガス圧力で、水蒸気が凝結する-50℃以下まで基板温度を冷却する予定であったが、現状では、ペルチェ素子方式を用いて-40℃(スパッタ中は-30℃)までしか冷却できなかった。このため、氷と水酸化物の混合膜の作製が実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルチェ方式、及び液体窒素方式ともに、冷却方法の改善を行う。まず、ペルチェ方式は、これまで用いてきた1段式ペルチェ素子では冷却能力が不十分であることがわかったので、2段式ペルチェ素子を採用し、低温化を図る。また、液体窒素方式については、液体窒素供給パイプの直径を太くすることと、供給パイプの形状を水平型から垂直型に変更することにより、液体窒素の流れをスムーズにし、効果的に冷却できるよう基板ホルダを改造する予定である。 基板温度を-50℃以下に冷却できることを確認した後、氷結晶と水酸化物(NiOOH、及びCoOOH)の混合膜の作製実験を行う。また、作製した試料のエレクトロクロミック特性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度に予定していた氷と水酸化物の混合膜作製の実験を実施できなかったため、研究発表旅費、謝金、その他経費をH25年度に繰り越すことにした。 H25年度は、繰越金とH25年度請求分を合わせて、研究費を使用する。具体的には、消耗品費を用いて、冷却用基板ホルダの改造のための真空部品、ガラス及び石英基板、スパッタターゲットを購入する。また、研究発表旅費、及び試料作製に協力した学生への謝金を支出する。その他経費を用いて、作製した試料の組成分析を行う。
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Research Products
(1 results)