2012 Fiscal Year Research-status Report
シリカ系構造単位の設計による新規ナノ空間材料の創製
Project/Area Number |
24550229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下嶋 敦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90424803)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 無機有機ハイブリッド / 多孔体 / シリカ |
Research Abstract |
本研究課題では、ケージ状シロキサンユニットをナノ構造単位としたボトムアッププロセスにより構築されるシリカ系ナノ多孔体の機能化を目的として、1)ケージ骨格への有機基やヘテロ元素の位置選択的な組み込みとケージの3次元的な連結による多孔体化、2)機能性有機リンカーを用いたシロキサンケージの連結による多孔体化について検討し、分子レベルでの精密な設計により、従来の多孔体では実現できない高度な機能、ユニークな物性を有する新しい多孔質材料の創製を目的としている。本年度は、D4Rユニットの連結基として、光機能性の有機分子であるアゾベンゼンの利用について検討した。アゾベンゼンは紫外光/可視光照射によってシス/トランス異性化を起こし、異性化の際に分子長が大幅に変化するため、これをリンカーとしてD4Rユニットを3次元的に連結することによって、光照射によって骨格の可逆的な収縮/膨張と、それに伴う細孔径変化が起こると考えられる。そこで、まずアゾベンゼンの両端に-O-CH2CH2CH=CH2基を有する誘導体を合成し、これとSiH末端のD4Rユニット(H8Si8O12)の間のヒドロシリル化反応をトルエン溶媒中で行った。反応にともなってゲル化が起こり、減圧乾燥により得られた橙色の固体をNMRで分析した結果、D4Rユニットの8つの頂点のうち7割程度がヒドロシリル化反応を起こしたことがわかった。また、非極性溶媒中で膨潤する様子が確認されたことから、D4Rユニットがアゾベンゼンによって3次元架橋された構造を有すると考えられた。しかしながら、窒素吸着測定により求めた比表面積は低く多孔体は得られなかった。今後、ネットワーク中にナノ空間を創出するために、テンプレートの利用や、より剛直なネットワークを形成させるための有機リンカーの設計について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光機能性分子をリンカーとしてケージ状シロキサンを3次元架橋することに成功しており、順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
光応答性の多孔体の合成へ向けて、反応条件の幅広い検討が必要である。また、テンプレートの利用や、リンカーの設計についても検討する。 一方、ケージ骨格へのAlやTiなどのヘテロ元素の位置選択的な組み込みとケージの3次元的な連結による多孔体化についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には試薬やガラス器具などの消耗品と、成果発表旅費にあてる予定である。
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