2012 Fiscal Year Research-status Report
金属―多価ホスホネート層状構造を基にしたナノスペース材料の創製
Project/Area Number |
24550230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
前田 和之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60343159)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 層状・層間化合物 / ハイブリッド多孔体 / 金属ホスホネート / ナノシート |
Research Abstract |
本研究は、層状亜鉛 1,3,5-ベンゼントリホスホネート(ZBP)や類似の層状金属多価ホスホネートを用い、層構造を保持したまま種々のナノスペース材料に変換する方法について検討することを目的としており、H24年度に得られた主な研究成果は以下の通りである。 1.基板表面をポリカチオンポリマーで修飾し、単層状態でZBP ナノシート(NS)を固定化する方法について検討した。Si基板上にpoly (diallyldimethylamonium chloride)(PDDA)を修飾した場合に最も薄いNSが得られ、AFMより単層ZBP NSを被覆している界面活性剤が片面のみPDDAとイオン交換して除去され、基板上に固定化されたことが明らかになった。 2.層状ZBPをMCl(M=K, Rb, Cs)水溶液中で処理することにより、層間有機物のイオン交換が起きるだけでなく、一部溶解したZnイオンが層間を架橋して新規オープンフレームワーク化合物(ZBP-M)に変換されることが、粉末X線結晶構造解析により解明された。ZBP-Mは骨格中に有機部位を含むこれらのイオン交換選択性についても検討した。 3.1,3,5-ベンゼントリホスホン酸(BTP)とランタニド塩より新規層状ホスホネート化合物LBP-IIが得られ、DMF中での単層NSへの層剥離に成功した。LBP-IIへのEuやTbのドーピングも可能であり、層剥離により蛍光性を示すNSコロイドが得られた。さらに、カチオン性有機添加物共存下でのランタニド源を用いた同様の合成により同じトポロジーの層構造を有する有機層間架橋体が得られた。特にdboを添加した系では窒素吸着を示し、ミクロ多孔性であることがわかった。 4.ピレンテトラホスホン酸を用いて水熱合成法により得られたMgホスホネートは、用いた溶媒により異なる結晶構造、蛍光特性を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZBP NSの積層制御やメソ多孔体化など研究項目によっては進捗が十分とは言えないものもある一方で、当初予定以上に進展した項目もあり、全体としてはおおむね順調に進展していると判断している。特に、BTPとランタニド塩より得られたLBP-II系では既に次年度分の実施内容を先取りした成果が得られており、今後も多様な展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度においては、当初計画にて予定していた以下の課題、1.新規層状オルガノホスホネートのナノシート積層制御及びナノスペース材料への変換、2.オルガノホスホネートナノシート積層体の光学特性及び電気物性評価、3.オルガノホスホネート層間の多座配位子架橋による多孔体構築、について検討を行う。特に1.ではLBP系へのドーピングによる蛍光特性の付与やミクロ多孔体化等を中心に取り組む。さらに、ZBP NSの積層制御やメソ多孔体化等の課題にも引き続き取り組むとともに、放射光を用いた薄膜XRDによりこれまで得られたナノシートが元の結晶構造を保持しているのか評価を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は、これまで運営費交付金のみ使用可能であった学内共通機器利用料について、昨年度から科研費による支出が可能になったので、本課題に関連した機器利用に関して支出した。その一方で、試薬等の消耗品費にかかる費用を予定よりやや圧縮した結果として若干の残額が生じたが、次年度H25年度に学内共通機器利用料として使用する予定である。
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