2013 Fiscal Year Research-status Report
金属―多価ホスホネート層状構造を基にしたナノスペース材料の創製
Project/Area Number |
24550230
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
前田 和之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60343159)
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Keywords | 金属ホスホネート / ナノシート / ハイブリッド多孔体 / 層状・層間化合物 |
Research Abstract |
本研究は、層状亜鉛 1,3,5-ベンゼントリホスホネート(ZBP)や類似の層状金属多価ホスホネートを用い、層構造を保持したまま種々のナノスペース材料に変換する方法について検討することを目的としており、H25年度に得られた主な研究成果は以下の通りである。 1.1,3,5-ベンゼントリホスホン酸(BTP)を用いて、ZBPとは異なる組成、構造の亜鉛1,3,5-ベンゼントリホスホネートを合成し、結晶構造を決定した。ZBPと同様にカチオン性界面活性剤のインターカレーションおよび層剥離が可能で、AFMよりSi基板上に固定化された単層ナノシート(NS)を確認した。 2.放射光を利用したZBP NSのin plain XRDにより回折パターンが観測され、指数付けには至らなかったもののNSにおける結晶性の保持が確認された。 3. BTP、ランタニド塩、及びカチオン性有機添加物より水熱合成法で得られた有機層間架橋体(LnBP-bpy及びLnBP-dbo)の結晶構造を粉末X線結晶構造解析により解明した。LnBP-bpyは層内構造を保持したままでのカチオン性界面活性剤等のインターカレーションが可能であることを確認した。また、有機アンモニウムカチオン存在下での層剥離によるナノシートをAFMにより確認した。LnBP-dboはこれまでに例のない結晶性オルガノホスホネート有機カチオン架橋ミクロ多孔体であり、層間水の除去により対称性が変化するものの高い結晶性と骨格構造が基本的に保持されていることを確認した。 4.ジアルキルホルムアミドを溶媒とするソルボサーマル法によりピレンテトラホスホン酸を用いて得られた結晶性Mgホスホネートが比較的強い蛍光発光を示したが、水和したMgイオン及び溶媒の分解により生じた有機アンモニウムカチオンの存在により、結晶内でピレン環間距離が増大したためであることが結晶構造解析よりわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度以降に取り組む課題のうち、ナノシート積層制御については基板への固定化に成功している。また、電気物性評価については交流インピーダンス法によるイオン伝導度測定装置のセットアップが完了し、いくつかの金属ホスホネート試料を用いた伝導度測定を開始した。メソ多孔体化など研究項目によっては進捗が十分とは言えないものもあるが、全体としてはおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度においては以下の3つの研究課題を引き続き実施する。 1.新規層状オルガノホスホネートのナノシート積層制御及びナノスペース材料への変換 2.オルガノホスホネートナノシート積層体の光学特性及び電気物性評価 3.オルガノホスホネート層間の多座配位子架橋による多孔体構築 1の積層制御については固定化NSが溶媒に再分散してしまわないよう、固定化方法や溶媒等のさらなる検討が必要である。2については電気物性評価を中心にイオン伝導性及びレドックス特性の評価を実施する。また、3の多座配位子架橋については、金属への配位結合を用いなくても規則的な層間架橋多孔体の形成が可能であることがわかったため、こうした方向性も含めて検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、ガラス器具等の消耗品費にかかる費用が見積額よりも少なくなったため。 H26年度に国際会議(ドイツ)のため海外旅費を計上しているが、予算額ではやや不足することが見込まれるので、それを補填する。その他に、本申請の時点では不可能であった学内共通機器利用料として支出する予定である。
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