2014 Fiscal Year Annual Research Report
局所空間の選択的分解反応による中空多孔性構造体の創製とミクロ反応容器としての利用
Project/Area Number |
24550231
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 昌樹 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (10262263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中空多孔体 / ミクロ反応容器 / 二相系反応 / ヒドロホルミル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
規則性多孔体は規則的な細孔と高表面積を有するという特徴から,触媒や吸着剤などの広く使用されてきた.我々は規則性多孔体において様々な構造や形状の制御を行い,規則性多孔体の高機能化を行ってきた.本研究において,構造制御法により調製した中空多孔体の利用法として,ミクロ反応器としての利用法について研究を行った.平成25年度までには,水相に溶解した臭化ナトリウムと油相に溶解した塩化ベンジルとの二相系反応のハロゲン交換反応において,中空多孔体を添加するだけで反応速度が3.5倍増加することを見いだした.その理由として,中空内に水相を内包した状態で油相へ移動することにより,水相と油相の界面積が増加して,反応速度が増加すると推測した. 平成26年度では,反応速度が増加する理由を明らかにした.撹拌中に,水相を含んだ中空粒子が油相へ移動した量と反応速度の変化量の関係を調べた.この結果から,中空粒子が油相に移動することにより二相間の界面積が増加し,反応速度が増加することがわかった.さらに,速度論的解析を用いることによって,中空粒子が添加すると水相中に小さな油滴が生成し,さらに界面積を増加させることがわかった.このことは,光学顕微鏡により撹拌直後の水相を観察した結果からも明らかとなった. また,二相系での1-オクテンのヒドロホルミル化においても,ミクロ反応容器として利用できるかどうかを調べた.水相に水溶性のロジウム錯体触媒を溶解して,二相系で1-オクテンのヒドロホルミル化を行った.この反応に中空シリカを添加した場合にも,反応速度が3倍以上増加することを見いだした.また,末端にアルデヒドが生成する選択率は,添加前後で変化しなかった.このことから,中空シリカはロジウム錯体触媒の触媒活性に影響を及ぼさないことがわかった.
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