2013 Fiscal Year Research-status Report
可視光応答型GaN:ZnO固溶体光触媒の固体窒素源を用いた新規合成法の開発
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24550232
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉浦 隆 岐阜大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40171144)
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Keywords | 光触媒 / 窒化ガリウム / 酸窒化物 / 水分解 / 人工光合成 / 固体窒素源 |
Research Abstract |
水の光分解による水素製造を目的として可視光に応答する光触媒の探索が続けられている。本研究では可視光に応答可能な酸窒化物半導体としてGaN:ZnO固溶体の合成について、固体窒素源を用いた新規合成法の開発を進めるとともに、その光電気化学特性、光触媒特性の評価を行うことを目的としている。 固体窒素源である窒化リチウムと酸化ガリウム、酸化亜鉛を混合して窒素雰囲気、常圧下で 550~700 ℃で数時間加熱するという簡単な方法でGaN : ZnO固溶体粉末を合成することに成功した。得られた試料はX線回折、拡散反射スペクトル測定、透過電子顕微鏡などによる評価を行った。原料混合比を変化させることで固溶体の組成も制御できることが分かったが、副生成物として窒化ガリウムが含まれることも分かった。 本年度は、さらに均一な固溶体を合成することを目的として原料粉末に注目した。電子顕微鏡観察などの結果、市販の酸化ガリウムは比較的大きな粒度分布を持つことが分かった。そこでマイクロ波水熱合成法を用いてその条件検討により異なる粒径の酸化ガリウム を合成することに成功した。また、これを原料としてGaN : ZnO固溶体粉末合成を行ったところ、より均一な組成の粉末が合成できることを明らかにした。また、光電気化学測定により得られた固溶体粉末は可視光に応答して、n型の半導体挙動を示すことがわかった。 さらに固体窒素源を用いた窒化ガリウム-窒化インジウム固溶体の合成についても検討した。金属源として塩化ガリウムおよび塩化インジウム、窒素源としてリチウムアミドを用いることによって固溶体合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、アンモニアを用いた窒化による合成法に比べて光電気化学特性、水素発生能に劣る部分があるが、窒素中、大気圧下というマイルドな条件で、金属源として酸化ガリウムと酸化亜鉛を用い、固体窒素源として窒化リチウムを用いることによって固溶体 粉末の合成に成功している。本年度は、マイクロ波水熱合成法を用いた原料粉末である酸化ガリウムの合成を行い、より均一性の高い固溶体粉末の合成に成功した。また、ガリウムと亜鉛の仕込み比を変化させてえられる各種組成の固溶体も、市販原料を用いた場合と同様に n型の光電気化学応答を示すことが分かった。 塩化ガリウム、塩化インジウムとリチウムアミドを反応させることによって窒化ガリウム-窒化インジウム固溶体の合成に成功した。この固溶体は組成を制御することによって紫外域から赤外域にわたる広いエネルギー範囲に応答するバンドギャップを持つため、光触媒などの光機能材料として応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続きGaN:ZnO固溶体合成について、原料の選択、組成を変化させ粉末合成条件の最適化を行う。マイクロ波水熱合成法を用いて酸化ガリウムのみでなく酸化亜鉛の同時合成を試み、これによってさらに均一な固溶体合成を目指す。電極化して光電気化学的評価を行い、より光活性な粉末の合成条件を検討する。酸化ロジウムや酸化クロムなどの助触媒を担持し、実際に水の光触媒分解を試み、その活性向上のための固溶体合成条件の検討を行う。 さらに本年度成功した固体窒素源(リチウムアミド)を用いた窒化ガリウム-窒化インジウム固溶体合成について引き続き検討し、粉末合成法を確立する。得られた粉末について光電気化学特性評価、光触媒特性評価を行う。
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Research Products
(4 results)