2014 Fiscal Year Research-status Report
アパタイト型高速イオン伝導体における非等方的イオン伝導機構の解明
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24550235
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
嶺重 温 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00285339)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イオン伝導体 / 燃料電池 / アパタイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イオン伝導の異方性を持つアパタイト型イオン伝導体・ランタンシリケート(LSO)の各軸方向の酸素拡散係数を得ることを目的にLSO単結晶の作製を行った。フッ化ランタンを融剤として用いるフラックス法を採用し、酸化ランタン、酸化ケイ素を用いたLSO単結晶の作製を検討した。作製は1300℃で一度保持した後、1250℃までまず徐冷後、さらに室温まで徐冷する二段階の徐冷プログラムにより行った。徐冷後、種結晶の析出を確認後、結晶を成長させるために再び加熱、徐冷操作を行った。この方法により得られた結晶は透明な角柱状をしており、大きさは1×1×4 mm3であった。2次元検出器を備えたXRDで評価したところ、高速イオン伝導パスがあると言われているc軸を長軸とした結晶が得られていることが確認できた。また、ラマンスペクトルより目的物質であるLSOが作製できていることが分かった。 以上より、目的のLSO単結晶が得られたものと思われるが、導電率測定や二次イオン質量分析法による酸素拡散係数測定に用いるにはある程度のサイズが必要である。そこで、大型の単結晶の作製を目指した。方法としては種結晶の数を減らす目的で1300℃での保持時間を短くし、徐冷の際の降温速度も最適化した。以上の検討により、1×1×20 mm3程度と5倍程度大型の単結晶を得ることができた。今後、本材料の非等方的なイオン伝導機構を考察するために、得られた単結晶の構造解析、振動モード解析、ならびに同位体拡散係数の評価を行う予定である。 また、溶融ガラスの結晶化手法を用いたLSO配向体作製方法についても継続して検討を行った。これまでの方法を発展させ、伝導度の高いc軸方向に配向度95-97%で優先配向させたイオン伝導体の作製が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の最終年度である平成26年度は、イオン伝導の異方性を持つアパタイト型イオン伝導体(LSO)の各軸方向の酸素拡散係数を得ることにより、各軸方向のイオン伝導挙動を明らかにすることを目指したが、大型の単結晶の作製が予想以上に困難であり、拡散係数の評価までには至らなかった。しかし、ようやく作製手法確立の目処が立ったことから、平成25年度に確立された、同位体酸素を用いた拡散係数評価手法を適用し、平成27年度において上記の測定を実施し、本材料の非等方的イオン伝導機構解明の目標を達成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
アパタイト型イオン伝導体(LSO)について、高配向なセラミックス、ならびに単結晶の作成が可能となったので、これまでに確立したX線構造解析、ラマン分光測定による酸素振動モード解析、ならびに二次イオン質量分析計を用いた酸素同位体拡散係数評価の手法を適用することで、結晶の各軸方向のイオン輸送を詳細に評価し、アパタイト型高速イオン伝導体における非等方的イオン伝導機構の解明を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の最終年度である平成26年度にイオン伝導体単結晶を作製し、物性評価を行う予定であったが、大型の単結晶作製が予想以上に困難であったため、次年度にかけて作製の最適化を行い、物性評価を行いたいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各軸方向のイオン拡散性評価を測定するための協力機関への旅費に充てる予定である。また単結晶作製のための消耗品、成果発表旅費に充てることも視野に入れている。
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Research Products
(2 results)