2012 Fiscal Year Research-status Report
フルオロアルキル-ハイドロカーボン交互型キラルポリマーの合成とその特性
Project/Area Number |
24550247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
矢島 知子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (10302994)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高分子材料合成 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、電子不足ジエンとジヨードペルフルオロアルキルの光ラジカル付加反応による新規フルオロアルキル-ハイドロカーボン交互型ポリマーの合成法を見出している。本研究においては、この反応にジエン部に不斉点を導入することにより、キラルな交互型ポリマーを合成し、その物性・構造を明らかにし、機能性材料としての可能性を見出すことを目的としている。 研究初年度に当たる本年には、鎖状および環状の不斉点を有するアクリル酸ジエンの合成を行い、そのポリマー化について検討することを計画していた。鎖状のジエンに関しては、その合成を行っている段階であり、更なる合成法の検討が必要である。環状ジエンについては、置換パターンの異なるシクロヘキサジオールからアクリル酸型ジエンを合成し、そのジヨードペルフルオロアルキルとの反応を試みた。まず、シス体、トランス体、シス-トランス混合物の1,2-シクロヘキサジオール由来のジエンをもちいて、それぞれ反応を行ったところ、立体化学による反応性の違いは見られなかった。次に、置換パターンの異なるシクロヘキサジオールを用いて反応を行ったところ、1,4‐>1,3‐>1,2‐の順で重合度が小さくなり、反応性が異なることを明らかとした。また、1,2-シクロヘキサジアミンから調製したアクリルアミド型ジエンの反応についても検討を行った。その結果、重合反応が進行し、高いゲル化能を有する生成物が得られることを明らかにした。このように、数種の不斉点を有するジエンを用いた反応を行い、新規高分子化合物を合成することができた。今後は、反応の詳細を明らかにすると共に、生成物の物性について検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラルな新規フルオロアルキル-ハイドロカーボン交互型ポリマーの合成およびその物性に関する本研究では、鎖状ジエンについては現在、基質の調製に手間取っており若干の遅れが見られる。しかしながら、環状ジエンに対してはキラルジエンの調製を行い、その反応が進行し、数種の新規含フッ素高分子化合物が得られており、その置換パターンにより反応性が異なること、アクリルアミド型の生成物は高いゲル化能を有すること等を明らかにしている。これらの実験事実は、機能性キラル高分子の創成の観点から興味深い知見であり、本研究の目的に照らし合わせて、おおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
鎖状ジエンについては、現在、キラルジエンの合成法の検討を行っており、引き続きジエンの合成の検討を行い、ポリマー化に着手する予定である。環状ジエンについては、シクロヘキサジオール由来のアクリル酸ジエンとジヨードペルフルオロアルキルの反応において、基質の置換パターンにより反応性が異なることを、1,2-シクロヘキサジアミン由来のアクリル酸ジエン反応においても、反応が進行することを明らかにしていることから、環状ジエンを中心により反応の詳細についての検討を行う。キラルなジエンを用いた反応を行い、生成物の立体特性、光学特性を含む物性についての検討を開始する。このとき、高分子化合物では溶解度が低下し、各種測定が行いにくいことが明らかとなったので、対応するキラルオリゴマーを合成し、そのCD測定、X線測定等を試みることとした。これらの比較的低分子量の化合物の解析結果から、高分子化合物の構造の推測を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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