2012 Fiscal Year Research-status Report
高性能化置換型ポリ乳酸ステレオコンプレックス材料の開発
Project/Area Number |
24550251
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
辻 秀人 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60227395)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 置換型ポリ乳酸 / ホモステレオコンプレックス / ヘテロステレオコンプレックス / 3成分ステレオコンプレックス / 生分解性高分子 |
Research Abstract |
置換型ポリ乳酸であるポリ(2-ヒドロキシブタン酸)[P(2HB)]およびポリ乳酸(PLA)のL体とD体を、それぞれ、縮合重合および開環重合により合成し、ホモステレオコンプレックス(HMSC)形成に与える分子量および結晶化温度の影響、およびヘテロ(HTSC)形成に与える結晶化温度と組成の影響を検討した。さらには、P(2HB)のL体およびD体、PLAのD体から、3成分ステレオコンプレックス(TSC)形成が起こる事を世界で初めて見い出したため、ブレンド比および結晶化温度依存性を検討した。 検討の結果、P(2HB)のHMSCにおいては、PLAのHMSCと同様に、ある一定の分子量を超過するとHMSC結晶以外に各ポリマー成分のホモ結晶が形成されることが明らかとなった。また、HTSC形成に関しては、両ポリマー成分が相分離しているため、ブレンド比よりも結晶化温度の影響を強く受け、溶融後150あるいは160℃の結晶化温度で結晶化すると、HTSCのみが形成されることが分かった。これらの情報は、P(2HB)のHMSC結晶あるいはHTSC結晶のみを含む試料を作製する際に重要な情報である。また、3成分ポリマーブレンドにおける結晶化に関しては、組成に従い、TSCの結晶格子の面間隔(d)が連続的に変化し、その結晶化温度が低いほどdのブレンド比依存性は低くなった。また、結晶化温度を変えるにより、様々な組み合わせの結晶種と異なった結晶化度の試料の作製が可能であることを見出した。このことは、材料を固定しても、熱処理条件を変えることにより、多様な分解挙動を有する生分解性材料作製の可能性を示唆するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた置換型ポリ乳酸であるポリ(2-ヒドロキシブタン酸)[P(2HB)]のホモステレオコンプレックス形成およびヘテロステレオコンプレックス形成に与える結晶化温度、分子量、ブレンド比など種々のパラメータ依存性を詳細に検討し、最適条件を明らかとした。さらには、世界で初めて3成分の高分子から形成される3成分ステレオコンプレックス形成を見出し、形成条件の結晶種および面間隔に与える影響を詳細に検討した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ポリ(2-ヒドロキシブタン酸)とポリ乳酸のヘテロステレオコンプレックスの加水分解挙動を検討するとともに、ブロック共重合体に於けるホモ、ヘテロ、3成分ステレオコンプレックス形成を検討する。また、ポリ(2-ヒドロキシブタン酸)以外の置換型ポリ乳酸に関しても、そのホモ、ヘテロ、3成分ステレオコンプレックス形成の可能性について検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ポリ(2-ヒドロキシブタン酸)とポリ乳酸のヘテロステレオコンプレックスの加水分解挙動を検討するために、新たにこれらのモノマーを購入する必要がある。また、ポリ(2-ヒドロキシブタン酸)以外の置換型ポリ乳酸に関しても、そのホモ、ヘテロ、3成分ステレオコンプレックス形成について検討するため、これらのモノマーを購入する必要がある。また、GPCカラムの交換が必要であるので購入する予定である。
|
Research Products
(7 results)