2013 Fiscal Year Research-status Report
マルチフェロイック物質の高異方性構造擾乱による磁性と磁気電気結合の増大
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24560007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
RICINSCHI Dan 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 特任准教授 (60403127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 雅則 大阪大学, 基礎工学部, 名誉教授 (60029569)
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Keywords | マルチフェロイック / 第1原理計算 / BiFeO3 / 強誘電性 / 強磁性 / PLD / 薄膜 |
Research Abstract |
室温で大きな磁気電気カップリングを示すマルチフェロイック物質実現を究極の目標として、巨大な強誘電性を持つBiFeO3(BFO)系材料の磁性を増大するため、密度関数理論を基にした第1原理計算を行った。BFO系材料の超格子でFe3+やCo3+等の異なる磁気モーメントでB siteのフェリ磁性を解析するとともに、Co3+の高スピン、低スピン、中間スピンの電子配位の結晶構造、強誘電性、磁性に対する影響も調べた。 正方晶CoドープBFO(BFCO)で高スピン電子配位Co3+イオンを仮定した時、磁化は超格子のFe-Co対の補償されない磁気モーメント数に比例して増加する。しかし、これは、相安定性の反強磁性オ―ダリングや格子異方性c/aへの依存性には影響しない。一方、Feを高スピンとしCoを低スピン、中間スピンの電子配位とした場合、反強磁性のオ―ダリングとCoの電子配位が変わると異方性比に重要な変化があった。これによりCoドープBFOの磁気電気結合を生じることになる。 第1原理計算を行うことによって、BFCOの結晶体晶性、反強磁性オ―ダリング、局在スピン配位間の相互関係を利用することが、室温で巨大磁気電気結合実現の長年の問題を解決するのに有効であることを示唆した。特にCo3+イオンを低スピンや中間スピンの電子配位に安定させたBFCO薄膜作製により物質としての能力を最大限に実現できると考えられる。 実験的研究では、基板に垂直に強磁場を印加し反応や堆積を活性化する磁場印加レーザ堆積法(PLD)によりBFO薄膜を作製した。磁場印加時の堆積種の運動軌跡に対する入射角依存性を考慮して堆積のシミュレーションを行い、成長粒のシャドー効果により横方向成長が抑制されて柱状構造となることが明らかにされた。磁場印加PLDにより作製されたBFCO薄膜は磁気ヒステリシスの測定から磁化は少し増加することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね計画通り進められており、研究計画に則って第1原理計算を進めていくことができた。共同研究者はBFO薄膜を磁場印加PLD法で作製し、強誘電性や強磁性の評価を行い概ね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者はBFO系マルチフェロイック材料の第1原理計算を続けていく。BFOのFeの複数の電子配位を考える。重要な目標は、巨大な自発分極を保ちながら磁化を増加させることにあり、CoドープBFOでは実現できなかったものである。さらに、Fe3+の混合したスピン状態のBFOに対し、エネルギー原子変位、格子異方性c/a、磁化を、弾性歪や圧力等の外部圧縮の効果も含めて調べる。 大阪大学のサイバーメディアセンターのスーパーコンピュータが2014年4月1日に重大な変更をするため、その対策が必要である。今まで計算に用いてきたPCクラスターの稼動を止めるが、残りのコンピュータは2014年8月までは稼動する。研究代表者はしばらく大阪大学のサイバーメディアセンターの残りの資源に依存するが、別のスーパーコンピュータを新たに探さねばならない。新たなコンピュータでは計算コードのコンパイルに時間を費やさねばならず研究の若干の遅延が懸念される。 実験的研究では、共同研究者は大きな格子異方性やその大小が混合したBFO薄膜を作製し、強磁性や強誘電性を改良する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大阪大学のサイバーメディアセンターのスーパーコンピュータが2014年4月1日に重大な変更をするため、その対策が必要である。今まで計算に用いてきたPCクラスターの稼動を止めるが、残りのコンピュータは2014年8月までは稼動する。研究代表者はしばらく大阪大学のサイバーメディアセンターの残りの資源に依存するが、別のスーパーコンピュータを新たに探さねばならない (10月からの負担額は、現在、不明瞭です)。これのため、お金は貯められました。 研究予算は第1原理計算を実行するための計算センター利用料金およびレーザー用ガス、基板、の購入の費用に充てられる。さらに研究代表者と研究分担者が研究結果を国際・国内会議で発表するための旅費や論文掲載のために充てられる。 未使用額も次年度の計画のために使用する。
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Research Products
(13 results)