2012 Fiscal Year Research-status Report
光子性の強い励起子ポラリトンが関与する励起子ー励起子散乱発光寿命の解明
Project/Area Number |
24560011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市田 秀樹 大阪大学, 産学連携本部, 助教 (50379129)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 励起子 / ポラリトン / 時間分解発光スペクトル / 発光寿命 / 励起子-励起子散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は,半導体結晶中における励起子-ポラリトン状態における下枝ポラリトンの光子性の強い部分(Photon-like Polariton)を経由した発光バンド(励起子-励起子散乱発光など)の減衰時間の意味を考えるものである.Photon-like Polaritonを経由した発光バンドの発光寿命は,その光子性の強さから非常に早い減衰時間を示すと考えられるが,その関係性は明らかになっていない.そこで,光カーゲート分光法を用いて,励起子-励起子散乱発光の時間分解発光スペクトルを測定し,(1)発光に関与するポラリトンの光子性の特徴が発光減衰時間にあたえる影響の解明すること,(2)励起子-励起子散乱発光を用いた光デバイスへの知見を得ることを目指している. 平成24年度においては,励起子-励起子散乱発光が明確に観測されるワイドギャップ半導体であるZnO薄膜における発光減衰時間の測定,および.その膜厚依存性の測定を行い,試料の膜厚を薄くすることによって,発光減衰時間が短くなるという,これまでに無い知見を得ることが出来た.当初は,Photon-like Polaritonの群速度と発光寿命の発光波長依存性の関係を明らかにすることを計画に盛り込んでいたが,測定により新奇な現象を得ることが出来たので,平成24年度においては主に励起子-励起子散乱発光寿命と膜厚の関係性のその解明に取り組んだ.平成25年度においては,当初予定していた,ポラリトンの光子性の観点から研究を行い,励起子-ポラリトン状態における下枝ポラリトンの光子性や膜厚による励起子と光の結合強度の観点からの研究を行っていく.また,測定装置の改良も行っており,比較的膜厚が薄く,励起子-励起子散乱発光の信号強度低い試料においても測定可能なところまで装置の最適化を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては,ワイドギャップ半導体であるZnO薄膜において,励起子-励起子散乱発光の発光減衰時間の測定,および.その膜厚依存性の測定を行い,試料の膜厚を薄くすることによって,発光減衰時間が短くなるという,これまでに無い知見を得ることが出来た.これは大きな成果で有り,次年度以降の研究の発展に繋がると考えている,当初計画で予定していた,Photon-like Polaritonの群速度と発光寿命の発光波長依存性の関係を明らかにする点については,平成24年度においては,Photon-like Polaritonの群速度と発光寿命の発光波長依存性を得るために必要な励起子-励起子散乱発光の時間分解発光スペクトルの測定は,ほぼ終わっている段階であり.次年度以降に詳細な解析と解析データから必要とされる追加のデータ取得を行うことを予定している. 上記の理由から,平成24年度の達成度としては,「(2)おおむね順調に発展している.」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては,当初は平成24年度の測定から得られた励起子-励起子散乱発光の減衰時間と膜厚依存性の結果に着目し,励起子とその光子性,膜厚との関連について知見を得ることを目指す.また,励起子-励起子散乱発光の時間分解発光スペクトルから得られる減衰時間の波長依存性から,下枝ポラリトンの光子性の強い部分であるPhoton-like Polaritonとその群速度との関係についても検証をおこなう,そのために,時間分解発光スペクトルを効率よく取得するために,測定装置および励起光源の改良を行い,光カーゲート分光法を用いた測定システムの全体的な性能向上を目指す. 期間内の計画としては,当初の研究計画にもとづき,測定システムの機能拡張を実施し,励起子-励起子散乱発光の時間分解発光スペクトルの高分解能化を実施する.これは,励起子-励起子散乱発光減衰時間の発光波長依存性から,Photon-like Polaritonの群速度との関係を明らかにすることを目的としており,励起子-励起子散乱発光バンドの低エネルギー側と高エネルギー側の両サイドにおいてどの程度発光寿命が違うのかを明確にする事で,それに係わるポラリトンの群速度の違いを明らかにすることを目指す.時間分解発光スペクトルの高分解能化に伴い,高分解能分光器の導入実施するが,逆に光カーゲート分光法のシグナル強度の低下が見込まれるため,システム内のカー媒質や光ゲートパルス幅の最適化などを実施し,計測システム全体の機能向上についても平成24年度に引き続いて取り組む.また,平成24年おにおいてえられた励起子-励起子散乱発光の減衰時間と膜厚依存性に関する測定も行い,光デバイスへの応用の観点から,試料膜厚を制御するメリットについても検討を行っていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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Research Products
(4 results)