2014 Fiscal Year Annual Research Report
チタン酸鉛型ペロブスカイト強誘電体の巨大正方晶歪みを支配する化学結合の解明
Project/Area Number |
24560013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森吉 千佳子 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00325143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森分 博紀 一般財団法人ファインセラミックスセンター, ナノ構造研究所, 主席研究員 (40450853)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペロブスカイト型強誘電体 / 放射光回折実験 / 電子密度分布 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
チタン酸鉛型ペロブスカイト強誘電体の強誘電相における自発歪みの発現機構や強誘電相転移を支配する化学結合を考察するため,高エネルギー放射光回折実験と第一原理計算により以下のペロブスカイト型固溶体の研究を行った. (1) 鉄酸ビスマス-チタン酸鉛の固溶体にみられる巨大正方晶歪み:この固溶体の温度を変化したときにみられる正方晶-正方晶の同型相転移のときの化学結合の変化と,固溶量を変化したときの化学結合の変化を放射光回折実験と第一原理計算により調べ,ビスマスや鉛の孤立電子対の役割を明らかにした. (2) カルシウム置換したチタン酸バリウムの強誘電相転移:チタン酸バリウムのバリウムをよりサイズの小さいカルシウムに置換することにより結晶格子を縮小すると,置換量の小さい領域では格子収縮によるチタン-酸素間の軌道混成の増大により強誘電相転移温度が上昇し,置換量の大きい領域ではチタン酸素間の短距離反発力の増大により強誘電相転移温度の低下が起こることを放射光回折実験によって明らかにした. (3) チタン酸ナトリウムビスマスにみられる支配されたビスマス原子の特異な振る舞いと構造相転移:チタン酸ナトリウムビスマスでは,イオン半径のほぼ等しい1価のナトリウムと3価のビスマスが同じ結晶サイトに存在すると考えられていたが,立方晶相ではナトリウムは格子の原点に,ビスマスは原点から0.3オングストローム離れた位置に存在することを初めて見いだした.この成果は,強誘電的秩序の実現していない立方晶相でもビスマス原子と酸素原子の間に軌道混成が形成されることを示しており,ペロブスカイト型強誘電体の自発原子変位に寄与するビスマス-酸素間の化学結合の理解を深化させるものである.
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Research Products
(6 results)