2014 Fiscal Year Annual Research Report
光電子ホログラフィーによる強磁性半導体の局所構造解析
Project/Area Number |
24560016
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
八方 直久 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (30285431)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 局所構造解析 / 原子分解能ホログラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、高速動作と低消費電力が期待されるスピントロニクス(電子の電荷とスピンの両方を利用した機能デバイス)材料の希薄磁性半導体Ge1-xMnxTeについて、原子分解能ホログラフィーを用いて、その結晶構造を調べる研究を行ってきた。最終年度は、これまでのホログラフィー実験結果より、各元素周辺の歪み方について考察した。その結果、Ge周辺に母体GeTeの菱面体構造がかなり保存されていると考えた歪みモデルが実験を良く再現することが分かった。このGe元素の不安定さが格子欠陥を生み出し、この材料の強磁性発現に寄与していると考えられる。この内容をJournal of the Physical Society of Japan(JPSJ)に投稿し、掲載された。これにより本研究の「局所的原子配列を明らかにすることで、強磁性発現のメカニズムを探求する」という目的は、3年間をかけて概ね達成できたと考える。更に、母体素材GeTeの原子配列についても結果をまとめ、これもJPSJに投稿し、掲載された。本研究の基礎データとしてばかりではなく、相変化光ディスク素材の研究においても重要な基礎データとなると考える。 また、蛍光X線ホログラフィーによる他の多元系材料の解析として、最終年度はイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のY元素周辺、熱電材料TlInSe2のTl元素周辺と、磁性トポロジカル絶縁体Mn添加Bi2Te3のMn元素とBi元素周辺などの局所構造解析を行い、国際会議(19th International Conference on Ternary and Multinary Compounds: ICTMC-19)や国内会議(放射光学会など)にて発表した。
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