2014 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性高分子表界面に顕れる複雑系固有の物性の探索と制御法の開発
Project/Area Number |
24560033
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 功 関西学院大学, 理工学部, 教授 (10212010)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生分解性高分子 / 薄膜 / 表面 / X線表面回折・散乱 / 結晶性 / ガラス転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は前年度からの継続である1.生分解性高分子PLLAとPDLAのブレンド薄膜の分子配向性の制御、2.ガラス形成ポリスチレンのガラス転移の薄膜効果、3.生分解性高分子PBAとPVPhブレンドでのPBAの相転移挙動の観察に加えて、新たに(1)導電性高分子P3HT薄膜における結晶化度の基板依存性、(2)生分解性高分子PHBとキチンとのブレンド試料の結晶化挙動の解明、(3)糖脂質ガラス薄膜の水和-脱水和を伴う結晶化とガラス化挙動の解明、の三つを行った。研究手法としては研究室と放射光(BL03XU、SPring-8)のX線回折装置を用いたX線表面散乱手法と表面敏感赤外吸収スペクトルを主な評価手法として用い、付加的に原子間力顕微鏡(AFM)、偏光顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)を活用した。1.~3.、(1)~(3)のそれぞれに新しい成果が得られている。 特に1.においては分子鎖が薄膜表面に対して平行に配列するタイプの結晶と垂直に配列するタイプの結晶のそれぞれの核形成が行われる位置と結晶の成長条件が数10nm程度の非常に薄い膜でも異なっていることを明らかにすることができた。PLLAとPDLAのブレンド薄膜で今回得られた結果は以前に我々のグループで得られた生分解性高分子PHB薄膜中の2種類のPHB結晶の核形成と成長条件と非常に良い対応を示しており、この現象のある程度の一般性(普遍性とまでは言えないが)を示唆する結果ではないかと考えている。 PLLA+PDLAブレンドやPHB薄膜中の分子配向性の制御以上に薄膜中の分子の配向性が本質的な問題とされている高分子にP3HTがある。(1)における成果として、P3HT薄膜をSi、SiOH、SiO2、C、PVPhのそれぞれの基板上に形成して熱処理を行い、P3HTの結晶性と配向性の調査を行い、薄膜中のP3HT結晶が非常に大きな基板依存性を有していることを確認することができた。
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Research Products
(14 results)