2013 Fiscal Year Research-status Report
表面化学修飾法による核磁気共鳴画像用ガドリニウム担持ナノダイヤモンド粒子の作製
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24560037
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 挙子 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (70357656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 光泉 東海大学, 医学部, 教授 (20306799)
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Keywords | ナノダイヤモンド粒子 / 表面化学修飾 / ガドリニウム / 核磁気共鳴画像 / 造影剤 |
Research Abstract |
生体親和性・化学安定性等の高機能を有するナノダイヤモンド(ND)粒子の特性を利用した、核磁気共鳴画像法(MRI)新規造影剤適用を目指したガドリニウム(Gd)担持ナノダイヤモンド粒子作製法の開発を目的とする。 当該年度においては前年度に作製手法について検討を行ったGd担持ND粒子を用い、MRI撮像に充分な試料量を作製するためのスケールアップ実験を行うとともに、水系分散剤を用いた分散性評価および分散試料を用いたMRI撮像について検討した。 前年度において手法を確立したGd担持ND粒子作製については、各プロセスにおけるスケールアップの検討を行い、最終的にMRI撮像実験用試料量を確保することに成功した。 Gd担持ND粒子について、水分散液のゼータ電位pH依存性を測定することにより、各プロセスにおける表面化学修飾に関する確認を行った。基材であるND粒子はpH 2-11の範囲において+33~-7 mVの電位が観測され、表面上に多数の水酸基が存在することが再度確認された。ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)修飾ND粒子については、ND粒子表面の水酸基とDTPA分子が化学結合されることにより、酸性pHにおいてゼータ電位低下の現象が確認された。さらにGd担持DTPA修飾ND粒子については、Gdイオン担持のためにゼータ電位が増加した。また、ICP-AES測定によりGdイオンの表面濃度が95 mg/gであることが確認された。 本ND粒子についてMRI撮像のコントラストを観察するため、1.5 T MRI装置によるGd-DTPA-ND分散液(0.1 w/v %リン酸バッファー溶液および注射用水)のT1強調画像を撮影した。未処理ND分散液と比較してGd-DTPA-ND分散液が高い信号強度を示したことから、Gd-DTPA-ND粒子は高い造影剤能を有することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は表面化学修飾法を利用することにより、MRI造影能を有するガドリニウム担持ナノダイヤモンド粒子の作製法を確立し、作製した金属含有ナノダイヤモンド粒子を利用した新規MRI造影剤開発を目的としている。 当該年度については、上記「9. 研究実績の概要」に記載した通り、前年度に作製手法について検討を行ったガドリニウム担持ナノダイヤモンド粒子を利用し、作製法に関するスケールアップを検討するとともに、水系分散剤を用いた分散性評価および分散試料を用いたMRI撮像を行った。ゼータ電位のpH依存性を測定することにより、各プロセスにおける表面化学修飾に関する確認を行うとともに、ICP-AES測定によりガドリニウムイオンの表面濃度を確認した。本ガドリニウム担持ナノダイヤモンド粒子について水系分散剤を用いたMRI装置によるT1強調画像を撮影した結果、未処理ナノダイヤモンド分散液と比較して、ガドリニウム担持ナノダイヤモンド分散液が高い信号強度を示したことから、ガドリニウム担持ナノダイヤモンド粒子は高い造影剤能を有することを明らかとした。 この成果について、論文掲載、学会口頭発表、所属研究機関一般公開を行うことにより、成果普及にも努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度については上記「11.現在までの達成度」に記載の通りに順調に進捗し、ガドリニウム担持ナノダイヤモンド粒子は高い造影剤能を有することを明らかとした。本課題の最終年度である26年度については、当初の研究計画に従って研究を推進する予定である。 具体的には、各種粒径ナノダイヤモンド粒子によるガドリニウム担持ナノダイヤモンド材料についてMRI撮像を行うことにより、粒径における造影能発現について検討する。新規造影剤の将来的な体内動態について検討するため、正常肝細胞による細胞毒性実験を行うとともにガドリニウム-ナノダイヤモンド製剤としての安全性評価のため、熱力学安定性、溶解性、生体内錯塩の安定性評価を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度研究計画におけるICP-AES測定について、当初外部受託分析機関での依頼分析を予定して分析費を計上していたところであるが、当該研究機関内分析部門において測定を行ったため、依頼分析費として計上していた金額を26年度分として繰り越した。 26年度分としては、当初計画に従って材料費、試薬費、液体窒素代、ガラス器具購入費等として使用する計画であるが、次年度は生体系実験を重点的に行うため、特に繰り越し分を本研究課題進捗に欠かせない純水を製造する製造機消耗品代として使用する予定である。
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